監視者

ブラッドベリ，レイ【ほか著】〈Ｂｒａｄｂｕｒｙ，Ｒａｙ〉/矢野 浩三郎【訳】/大久保 浩【画】

岩崎書店（1999/02発売）

• サイズ B6判／ページ数 158p／高さ 20cm
• 商品コード 9784265032556
• NDC分類 K933
• Cコード C8397

出版社内容情報

有名な虫殺し器具，ハエたたきの発明者ティーンズリー。彼の異常な虫嫌いは，子どもの頃の不幸な事件が引き金で…。他２編収録。　　　　小学生高学年から

内容説明

ティンズリー台所用品会社でハエやカを見かけることは、まずありません。社長じまんのハエたたきで、一匹のこらず、たたきつぶされてしまうからです。社長が異常なまでに虫をきらうのは、子どものころに、あの悲惨な事件が起こったからです…。表題作のほかに、グッドウィンの「まゆ」、コッブの「逃亡者と運命」の２編を収録。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

[藤月はな（灯れ松明の火）]

（グロテスク注意！）解体されながらも繋がっている蠅にも再生していく蠅にも見えるのが大変、嫌悪感をそそる表紙である。しかし、レイ・ブラッドベリ氏が蟲ホラーを書いていたとは・・・。虫を憎むティンズリーのトラウマを探る語り手だが、意外で悍ましい結末が待ち受けていた。明かされる真相に江戸川乱歩の某作品を思い出させます。「まゆ」は最低限の処理の為、滲み出る昆虫の体液の匂いや壁紙に沁みついた汚れなど、五感に訴えてくるような描写が生理的嫌悪を募らせる。だが、それ以上におざなりに親をするダニーの父親の方が醜悪だと思った。

2024/09/07

[HANA]

シリーズ五巻目。本書収録はブラッドベリ「監視者」グッドウィン「まゆ」コッブ「逃亡者と運命」。虫を嫌う男の妄想と見せかけて実は…というありがちな話をひっくり返してもう一捻りを加えたブラッドベリは流石のストーリーテラー。虫の標本を作る少年を襲う恐怖を描いた「まゆ」だけど、襲い掛かる恐怖より父親の無関心ぶりがいっそ怖くなるな。「逃亡者と運命」は三人の犯罪者に襲い掛かる運命という事で、某ホラー映画を想像。ありきたりだけど予定調和が心地良い。本巻のテーマはどうも忍び寄るものらしく、物影が気持ち悪くなる一冊でした。

2024/07/07

[あたびー]

この巻の3つの話のうち2つは、虫嫌いの人には避けて通りたい話です。ブラッドベリ「監視者」は、虫に監視されていると思い込んだ男がきづかなければよかった事とは…グッドウィン「まゆ」は吐き気を催すような話です。昆虫採集を趣味とするデニー少年は、森で見たこともないような幼虫をみつけます。蛹から羽化した蝶は見た事のない程の大きさでした。彼はそれを壁にピンで留め…巨大な蝶の禍々しい姿より、標本の作り方も幼虫の飼育もいい加減な所にむしろ吐き気を覚えます。コッブ「逃亡者と運命」は因果応報的な話。

2025/04/09

[Kouro-hou]

児童向けにリライトされた怪奇小説全集5/10。比較的上品な話の多い全集の中でコレはグロ担当巻。ブラッドベリの「監視者」、グッドウィンの「繭」は共に昆虫系グロ話で「監視者」は虫そのもの、「繭」は虫のアレの描写がエグくてお食事中にはオススメできません。「逃亡者と運命」はコメディタッチの因果応報モノ。3人の死刑囚が見張りを殺して逃亡するも…、という先のグロ末期注意。一応巻のテーマは逃れられない「運命」だそうです。

2015/11/28

[くさてる]

児童向けホラーアンソロジー五冊目。虫はそこまで苦手じゃないのだけど、なんとも生理的な嫌悪感に訴えてくるブラッドべリ「監視者」グッドウィン「まゆ」が二作続いて、おお……という感じのところに毛色が違うコッブ「逃亡者と運命」が来て、面白く読みました。残酷性はこれがいちばんだけど。

2024/09/07