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出版社内容情報
インドから帰った男が,ポケットからミイラのような猿の手を取り出し「3つの願いがかなう,まじないの手だ」と言い…。他3編収録。 小学生高学年から
内容説明
ホワイト氏は、友人のモリス曹長からインドのめずらしいおみやげをもらいました。ミイラの手みたいにひからびた、ただの猿の手ですが、まじないがかけられていて、三つの願いがかなえられる、というのですが―。表題作「猿の手」のほかに、キップリング「獣のしるし」、ディケンズ「信号手」、ジェイムズ「マグナス伯爵」の3編を収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
藤月はな(灯れ松明の火)
76
読者のホラー耐久度を刷新してくるこのシリーズですが、今回はオーソドックスだが、しっかりと不気味な古典ホラーを収録。特に『猿の手』は何度、読んでも悲哀と恐怖の余韻が続くラストが印象的だ。特に叶えられた願いに翻弄されたホワイト氏が最後に何を願ったのかが明確にされないのが味わい深い。後に有栖川有栖氏がこの作品への新解釈を言及した時は痺れたものです。「信号手」も実直な信号手が悩まされていた光景の種明かしに何度、読んでも暗澹とした気持ちにさせられる。それは命運だったのか、時空の捻じれで未来が見えていたのか。2024/09/06
HANA
74
シリーズ四巻目。本書に収録されているのは「猿の手」「獣のしるし」「信号手」「マグナス伯爵」と怪奇小説を語る上では外せない名作揃いとなっている。とくに「猿の手」はもう伝説的な名作で、何度となく読み返したがその度に新しい戦慄に襲われる。「獣のしるし」はオリエンタリズムと植民地主義が透けて見えて好みに合わないものの、そのあとすぐの「信号手」の孤独と薄気味悪さが輪をかけて感じられる。で〆の怪奇小説のお手本みたいな「マグナス伯爵」で止めを刺されると。初読の時は三つの鍵がだんだんと外れていくのが本当に怖かった…。2024/06/17
ehirano1
70
表題作について。緊迫感があって、えげつないトレードオフは凄かったです。3つ目の願いは想像に難くないんだけど、やっぱりアレなんだろなぁ~。しっかし、寝る前に読むんじゃなかった(泣)。2023/03/28
みっぴー
48
有栖川さんの『妃は~』の予習として。子供向けとは言え、怖かったです。収録作品は四作。『猿の手』-この猿の手は、三つの願い事を叶えてくれるらしいのでさっそくお金が欲しいとお願いしましたところ、なんと願った通りの金額が手に入りました。ところが…『信号手』-なんと、ディケンズの短篇です。言葉では言い表せないようなヤバめの恐ろしさ。めちゃくちゃ怖かったです。鉄道ホラー。『マグナス伯爵』-読むのをやめようかと思うくらい怖かったです。『獣のしるし』-異文化間でのごたごた。挿し絵が恐怖を煽ります…2016/07/20
あたびー
36
この巻は超有名作多し。ジェイコブズ「猿の手」、キップリング「獣のしるし」、ディケンズ「信号手」、MRジェイムズ「マグナス伯爵」。「獣のしるし」は英国インド支配時代の怪談だが、今読むと白人による失礼な支配がどうしても鼻につく。キプリング自身の気持ちは、登場する警察官にインドを理解したいと言わせたりする事で垣間見えるが、やはり上から目線のアンコンシャスバイアスに思える。「マグナス伯爵」は今回初めて悪魔ものというよりクトゥルフの先駆となるような作品と思えた(調べたらそういう意見多し)。悪魔より恐ろし。2025/03/30