内容説明
あなたも私も「おんなじいのち」という普遍的価値を掲げて歩むなかで、ホームレスの人たちから教えられたこととは?
目次
1 いつか笑える日が来る(生きていれば、きっと笑える日が来る;もう一つの「ホームレス中学生」;竹さんの祈り;ねじれた心が解けるには;縁の切れ目―どまぐれる理由 ほか)
2 軒のある風景(軒の教会物語―無縁の時代に生きる教会;そのまま抱く―抱樸とは何か;いや、あなただ―悪の外在化について;貧しい人は幸いだ―人間とは何か;神の前で神と共に、神なしに生きる―三・一一後を生きる信仰 ほか)
著者等紹介
奥田知志[オクダトモシ]
1963年滋賀県生。14歳でキリスト者に。関西学院大学入学と同時に大阪釜ヶ崎と出会う。以来ホームレスや困窮者の支援に携わる。その後、西南学院大学専攻科、九州大学博士後期課程で学ぶ。1990年日本バプテスト連盟東八幡キリスト教会牧師就任。NPO法人抱樸、公益財団法人共生地域創造財団、ホームレス支援全国ネットワーク、生活困窮者自立支援全国ネットワーク、全国居住支援法人協議会など代表。第1回賀川豊彦賞(団体)、第19回糸賀一雄記念賞など受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ネギっ子gen
54
【時代の闇は一層深まりつつある。しかし、光は闇の中に輝く。しっかりと闇を見据え、光を見いだしたいと思う。大丈夫だ、笑える日は必ず来る】牧師が、ホームレス支援活動の中で出会った人々などについて綴る書。<信仰者は、「信仰こそ人生に答えを与えるものだ」と言います。そうでしょうか。神を信じると、「すべての問い」が解決するのでしょうか。私は、3・11後を生きる信仰とは、「問い」にとどまることだと考えています。「なぜ」という問いに答えが見いだせなくとも生きる。生きることができる。それが十字架の信仰だと思います>と。⇒2023/08/03
おさむ
30
「あんたもわしもおなじいのち」。北九州市の教会の牧師である著者は30年以上、ホームレスの自立支援にあたっている。その活動を記した本著には聖書の言葉がちりばめられ、聖職者らしい。生産性や効率性を基準に人間を分断し、差別して、排除するこの日本社会のありようを問いながらも、「人が人を救うことはできない」とも語る。そして「答えのないしんどい問いから逃げてはいけない」と説く。私たち人間は生きている限り罪人であり、悪は外にあるのではなく中にある。だから「人間に対する懐疑を持たざるを得ない」との言葉は真理をついている。2022/10/23
Koji Takahashi
8
《弱い支援者で良い》 牧師ベースのソーシャルワーカー(勝手に呼んでます)である奥田氏は憧れの人物の一人です。 『出会った責任』によって、「助けて」と言う人だけではなく、言えない人に「助けてと言える人」になれるよう、年月をかけて関わり続ける。出会ったら逃げられない、逃げる勇気が無い弱い支援者だと言うが、それが素晴らしい。自身がホームレスの経験も無くいからホームレスの辛さは分からないと言い、ホームレスの人たちが寒い路上で寝ているのに、自分は暖かい布団で寝ていると、後ろめたさも感じている。だから素晴らしい。2021/04/30
Mao
3
1人で出産できるサルから、手助けの必要なヒトへの進化。「助けて」と言えることが人の本質である。自己責任を強いることは、サルへ戻れと言うに等しい。2020/10/11