内容説明
本書が紹介する“聖書を読んだサムライたち”の物語は、文明開化で取り入れた「洋才」の根底にある聖書の真理が、いかに幕末に生きた武士に衝撃を与えたかを追ったものです。そこには勝海舟、福沢諭吉、大隈重信、さらには新島襄、内村鑑三、新渡戸稲造といったおなじみの歴史的人物と外国人宣教師との意外な出会いの秘話も出てきます。また、坂本龍馬を斬った男の回心記も紹介、それは知られざるもうひとつの幕末維新史と言えるかもしれません。
目次
洋上に浮かんでいた聖書―宣教師フルベッキ
坂本龍馬を斬った男―今井信郎
自由民権運動の嵐の中で―坂本直寛
梅子、七歳のアメリカ体験―津田梅子
欧米使節団と密出国青年―新島襄(一)
小刀で漢訳聖書を求める―新島襄(二)
会津のジャンヌ・ダルク―山本八重
銀座に「十字屋」書店を開いた元・与力―原胤昭
少年よ大志を抱け―W.S.クラーク
イエスを愛し日本を愛す―内村鑑三
われ太平洋の架け橋とならん―新渡戸稲造
一万円冊のあの人の話―福沢諭吉
著者等紹介
守部喜雅[モリベヨシマサ]
1940年、中国上海市生まれ。慶応義塾大学卒業。1977年から97年まで、クリスチャン新聞・編集部長、99年から2004年まで月刊『百万人の福音』編集長。ジャーナリストとして、四半世紀にわたり、中国大陸のキリスト教事情を取材(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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たつや
3
タイトルに惹かれ図書館で借りる。侍が聖書にどう向き合ったか?ではなく、鎖国から開港、フルベッキ来日。禁教。大まかに駆け足で歴史を振り返るような本でした。西郷隆盛の「敬天愛人」は聖書から。は、納得です。多くの貴重な写真、特に侍の写真は震えるほど殺気を感じた。今でも研究がされており、新事実が見つかれば、何か変わるかも?と思うが、現時点での、簡単な聖書と幕末の志士の関係は軽く分かった。2022/06/06
I神学生
3
明治初期の著名なキリスト者の意外な側面を知ることが出来た好著。薄いのですぐ読める。2012/02/25
紫
2
約7年ぶりの再読。やべえ、内容をすっかり忘れているよ……。幕末明治に聖書とキリスト教に感化された武士(と武士階級出身者)たちの、さらっとおさらい的なガイドブック。新渡戸稲造、内村鑑三、福沢諭吉のような論壇の大物は後まわしにして、坂本龍馬暗殺犯の今井信郎や、坂本龍馬の甥の坂本直寛といった一般入信者の紹介から始めているのがキャッチーなのであります。本書の軸ともいえる扱いなのが宣教師フルベッキ。「フルベッキ写真」で名前が知られていますが、そんな陰謀論が持ち上がるぐらいに明治日本に大きな影響を与えた人だったのね。2024/06/09
のろのろまちこ
2
面魂という語を知りました。必死に生き抜く人たちのパッションは言葉通り命懸けです。もう一度読みたい本。2023/02/21
紫
2
幕末明治に聖書を読み、キリスト教の思想に接した武士たちの紳士録。のっけから話の枕にフルベッキ写真(幕末有名人大集合!と称するアレ)を持ち出されてきて不穏な予感に見舞われたのですが、内容はいたってまともな文明開化の御時世のキリスト教徒事情であります。時代の転換期にキリスト教に心惹かれた武士たちは実に多士済々。それほど突っ込んだ内容はございませんが、キリスト教を間に挟んだ思いがけない人間関係にはびっくり。だからといって、フルベッキ写真を出してくるのはいただけませんよ。星4つ。2017/07/06