出版社内容情報
《内容》 老いと死を徹底的に否定してアメリカン・ドリームを実現することに意味を見つけてきたアメリカ合衆国の文化に,死の問題を最初に提起。1960年代に「死にゆく人々は生物学的に死ぬ前に社会的,人間的に死ねるのか」と問いかけ,サンフランシスコの6つの病院で調査した結果の報告書の1冊。死と死にゆくことに関する社会的な側面からの古典的研究であり,先駆的研究。 《目次》 第I部 序論 1 終末認識の問題 2 死の予期の多様性:社会的提議の問題 第II部 死の認識文脈の諸タイプ 3「閉鎖」認識 4「疑念」認識:コン卜ロールをめぐるかけひき 5「相互虚偽」の儀礼ドラマ 6「オープン」認織のあいまいさ 7終末認識の不完全状態 第III部 終末認識をめぐる諸問題 8 終末の直接告知 他
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
たかこ
43
1960年代のアメリカ、病院での終末期のケアの研究。「Awareness of dying」病気の告知をされていない患者と看護師、家族の間で何がおこっているのか、患者の状態を誰がどのくらい認識していてどう対応するのか、「終末認識」と相互作用の研究である。「閉鎖」認識=間近に迫った患者の死をスタッフは知っていても、本人は知らない。「疑念」認識=自分は死ぬのではないかと本人は疑っているのに、まわりの人々は患者が疑念を抱いているのを知りつつも、あえてそれを打ち消そうとする。⇒続く2024/06/20
Ayano
0
退職された方にいただいた本。社会学としての視点は広いなと読んでいて感じた。それと同時に、医療社会学は登場人物も多くそれぞれの人の背景も異なるので共通項を見出していくのもとても労力がかかるんだろうなとも思った。複数の病院を研究として自由に出入りできた、という点が時代なのか倫理の取り扱いも「死」を扱うことでセンシティブだけど、どんなプロセスだったのかデータ収集と分析方法以外にも知りたいと思った。2025/04/08
kuma-kichi
0
14章のみ。この「具体理論」がのちに、グラウンデッド・セオリーに育つんだなーとしみじみ。2024/11/23