出版社内容情報
《内容》 「質のわるい生」に代わるべきは,「質のよい生」であって,「美しい死」ではない。無意味な延命,死の受容などと唱える前にやるべきことがあり,呼びかけるべき声がある――「息ができなければ苦しいではないか」という地点からの問いかけに,医療者はどう答えるのか。
《目次》
序章
第1章 間違い
第2章 まだなおらないこと
第3章 わかること
第4章 わかることについて
第5章 呼吸器のこと
第6章 既にあったものの出現
第7章 川口武久のこと1
第8章 川口武久のこと2
第9章 その先を生きること1
第10章 その先を生きること2
第11章 死の位置の変容
第12章 さらにその先を生きること
あとがき
文献表
索引
内容説明
ALS当事者の語りを渉猟し、「既に書かれていること」をまとめた本。人工呼吸器と人がいれば生きることができる、と言う本。だから感動の少ない本。しかし「生命倫理」という名の議論は、せめてここから始めるべきだとわかる本。
目次
間違い
まだなおらないこと
わかること
わかることについて
呼吸器のこと
既にあったものの出現
川口武久のこと
その先を生きること
死の位置の変容
さらにその先を生きること
著者等紹介
立岩真也[タテイワシンヤ]
1960年佐渡島生まれ。東京大学大学院社会学研究科博士課程修了。信州大学医療技術短期大学部等を経て、現在立命館大学大学院先端総合学術研究科教授。専攻は社会学
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
JunTHR
5
めちゃくちゃ素晴らしかった。 積み上げられた引用の塔は、読み応えあり、ALSという疾患を知るのにとてもいい。その上で何が言えるのか、素朴なレベルから精緻に考え抜かれた立岩真也の立論を追いかけていくのは、読書体験としてスリリング。そして何より、ALSに対する勝手なイメージや、安楽死や尊厳死への軽々しい考えは打ち砕かれ、一から考え直すことを強いられる。まさに啓蒙。 立岩真也が辿り着く、ひとまずの結論に、ひとまずは同意したいと思う。2021/02/02
エラリー9
2
えーと、ALSの方々の手記をもとに手探りで試行錯誤(思考錯誤?)していった本、でしょうか。実際の場面で自分がそうなってみなければ結局わからないとしながら当事者とは違う著者が迷っている感も強く、読みながら話が進んでいるのかどうかもいまいち不明でしたが、悪い生に対して良い死をではなく良い生であるべき、医療や人的資源の問題についても、患者1人に24時間介助者が必要でも、可能なんだからしたらいいじゃないか、みたいな提言にははっとさせられました。本が手元にないので記憶違いだったらすみません。2011/10/15
ブラタン
2
著者の頭を整理するために作られたような本。医療従事者でない著者が、文献を徹底的にあたって、ALSの本質を見極めようとしている。医療従事者でない人間が読むにはいいが、私には冗長すぎて最後まで読めなかった。すべてを確認しなければものを言わない著者の姿勢には感嘆するが、現場にいる人間としては、がちがちに固められた価値観が本質を射抜いているとはとても思えない。そこら辺を本人と話してみたいものだ。2008/06/30
s_n
1
ALSについて。著者が思考整理するためのスケッチ的な構成なんだが太い本です。大半はALS当事者、医療者、家族の手記、論文などなどの引用。序盤のALS入門的な内容は面白いが後半からはかなりしんどい。2018/07/07
てぬてぬ
1
「~だろうか」と疑問を呈すだけ呈し、意見を述べるということもなく、はたまた聞き取り調査を行うでもなく、ただALS患者(あるいはその家族)の書いた文章を引用していく謎の本。譲歩的な表現がとにかく多くて読みにくかったです。著者自身も考えがまとまってないまま本を書くとこうなるんだなあ。 人工呼吸器なら人工呼吸器と、テーマを絞って1冊の本にしたら、あるいは良いものが出来ていたのかもしれません。2018/04/25