胃酸関連疾患の病態と治療

胃酸関連疾患の病態と治療

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  • サイズ B5判/ページ数 363p/高さ 27cm
  • 商品コード 9784260109949
  • Cコード C3047

出版社内容情報

《内容》 胃・十二指腸潰瘍や胃食道逆流症などの胃酸関連疾患は古くて新しい問題である。ヘリコバクターピロリ発見後の新知見も含め、胃酸関連疾患の病態と治療について、消化器病学の分野で世界的に著名なModlinとSachsが、貴重な写真、美麗な図を豊富に織りまぜながら、研究の歴史に見事な総括を与えるとともに、新たな視座を提供している。    《目次》 目次 はじめに … xix 1 胃における酸の産成 … 1 第1章 酸の発見 … 3  古代から18世紀まで … 3  消化物質の性質 … 5  塩酸の発見 … 8 第2章 イオンポンプの発見 … 10  生体力学と化学的浸透 … 11  P・ATPase … 12 第3章 イオン輸送ATPase … 14  Multimeric pumps(多サブユニットポンプ) … 14  Oligomeric pumps(少サブユニットポンプ) … 15 第4章 胃酸分泌ポンプ … 19  H,K・ATPaseの反応経路 … 19  H,K・ATPaseの速度論 … 20  膜電位とH,K・ATPase … 22  胃H,K・ATPaseの二次元構造 … 22  PタイプATPaseの三次元構造 … 30  H,K・ATPaseの構造・機能モデル … 32   文献 … 34 2 胃酸分泌の調節 … 37 第1章 胃の生理についての進歩 … 39  胃瘻:たぐいまれな好機 … 39  内部環境“Le Milieu Interieur” … 42  胃酸分泌の定義 … 43  消化という概念 … 44  迷走神経の生理学と胃機能 … 45  潰瘍モデルとEGF … 48  ヒスタミンの役割 … 49  ホルモンの発見 … 54 第2章 胃酸分泌 … 62  中枢性調節 … 63  胃酸分泌の神経性調節 … 65  パラクリン調節 … 68  内分泌調節 … 68  胃液酸度の調節 … 69  細胞の調節 … 70  G細胞 … 84  D細胞 … 88 第3章 酸分泌細胞 … 91  酸分泌細胞の発生 … 92  形態 … 92  受容体 … 92  細胞内情報伝達 … 97  H,K・ATPaseの活性化 … 101  H,K・ATPaseの組み立てと輸送 … 102  H,K・ATPaseの合成と回転 … 103  酸分泌細胞の恒常性homeostasis … 104   文献 … 107 3 酸分泌の薬理学 … 109 第1章 酸関連疾患に対する薬物治療の歴史 … 111  治療の発展 … 111  食事療法 … 111  外科療法 … 112  制酸剤―粘膜保護薬 … 112  保護薬 … 113  胃の受容体 … 113  アトロピン系薬物 … 114  プロスタグランジン類 … 114  H2受容体拮抗薬 … 115  ガストリン拮抗薬 … 116  プロトンポンプ阻害剤(PPI) … 117  酸ポンプ拮抗薬 … 117 第2章 ヒスタミンH2受容体の抑制 … 118  ヒスタミン受容体拮抗薬 … 118  ヒスタミンH2受容体 … 119  H2受容体拮抗の薬理 … 120 第3章 胃酸ポンプの阻害 … 123  薬物の標的としてのATPase … 123  胃H,K・ATPaseの標的アミノ酸 … 124  Na,K・ATPaseのジゴキシン標的 … 124  H,K・ATPaseの標的部位 … 125  ピリジルメチルスルフィニルベンズイミダゾール誘導体 … 125  K拮抗型阻害剤 … 135  in vivoでのプロトンポンプ阻害剤による酸分泌抑制 … 136  in vivoにおける酸ポンプ拮抗薬による阻害 … 139   文献 … 140 4 酸関連疾患の生物学 … 145 第1章 上部消化管の粘膜関門 … 147  はじめに … 147  歴史的背景 … 147  食道粘膜上皮 … 149  食道による酸・ペプシンの処理 … 150  PPIによるGERD治療の理論的根拠 … 151  胃の上皮 … 152  十二指腸関門 … 156 第2章 胃内pH … 158  低酸症hypochlorhydriaと無酸症achlorhydria … 158  胃酸分泌の計量化 … 159  胃酸分泌に影響を与える因子 … 160  低酸状態 … 161  ガストリン値とPPI治療の臨床的意義 … 164 第3章 ペプシン … 165  ペプシノゲンの歴史 … 165  ペプシノゲンの性質 … 168  ペプシノゲン … 170  分泌調節 … 170  ペプシノゲンの意義 … 173 第4章 内因子 … 175  歴史的論点 … 175  コバラミン … 175  内因子 … 176  コバラミンの吸収 … 177 第5章 胃粘膜上皮増殖調節 … 179  はじめに … 179  胃の細胞増殖 … 179  胃粘膜の増殖受容体 … 180  上皮修復 … 181  粘膜治癒とtrefoilペプチド … 181  胃粘膜治癒の阻害 … 186   文献 … 187 5 胃・十二指腸潰瘍 … 189 第1章 歴史 … 191  はじめに … 191  初期の消化性潰瘍の治療 … 193  胃外科 … 197  迷走神経の外科 … 201 第2章 消化性潰瘍 … 211  総論 … 211  病因 … 213  pHと消化性潰瘍 … 214  診断 … 215  内科的治療 … 215  消化性潰瘍の合併症 … 222  高ガストリン血症 … 228 第3章 胃カルチノイド … 234  組織学 … 234  発生 … 234  実験モデル … 237  臨床的考察 … 237 第4章 dyspepsia … 244  非潰瘍性dyspepsia(non・ulcer dyspepsia;NUD) … 244  dyspepsiaと胸やけ … 246 第5章 酸分泌抑制剤の静脈内投与 … 248  H2受容体拮抗薬とプロトンポンプ阻害剤(PPI) … 248  酸分泌抑制剤静脈内投与による急性期の適応 … 248  酸分泌抑制剤静脈内投与の外科的適応 … 250   文献 … 251 6 胃食道逆流症(GERD)―新ミレニアムにおける疾患 … 253 第1章 疾患としての進化 … 255  病因 … 258 第2章 生物学 … 261  食道上皮 … 261  食道の解剖と生理 … 262  胃食道接合部 … 262  下部食道括約筋 … 263 第3章 生理学と運動機能の研究 … 264  食道の機能テスト … 264  病態生理学 … 268 第4章 治療 … 271  GERDにおける下部食道括約筋の機能 … 271  治療目標 … 272  胃内酸性度 … 275  GERDと食道pH … 276  Helicobacter pylori … 277  GERDの診断と治療 … 278  経済性 … 284 第5章 Barrett食道 … 287  食道上皮の悪性形質転換 … 287 第6章 コンセンサス … 292  治療のコンセンサス … 292  文献 … 296 7 HELICOBACTER PYLORI … 299 第1章 歴史 … 301  はじめに … 301  初期の細菌学 … 301  初期の胃の細菌学 … 302  20世紀にはいって … 305  アンモニアと胃ウレアーゼ … 309  H. pyloriの発見と消化性潰瘍の病因としての役割 … 310 第2章 Helicobacterの胃内集落形成に関する生物学的基礎 … 312  はじめに … 312  細菌の生物エネルギー論 … 312  H. pyloriの構造 … 314  細菌のゲノム … 314  H. pyloriの生存および増殖の特徴 … 315  H. pyloriの生物エネルギープロフィル … 316  細胞質pH … 316  膜電位 … 316  ウレアーゼ活性化によるH. pyloriの酸への適応 … 319  ウレアーゼ活性と増殖 … 323  表面ウレアーゼ活性 … 323  ウレアーゼはH. pyloriに不可欠である … 325 第3章 病原性 … 326  接着 … 328  免疫的効果 … 328 第4章 感染と帰結 … 329  感染後の胃酸分泌 … 329  H. pyloriとその胃内生育環境 … 330  潰瘍の病因としてのウレアーゼとNH3の役割 … 333  MALTリンパ腫Mucosa Associated Lymphoid Tissue(MALT)lymphoma … 335  診断 … 338  疾患の実体(実態)との関係 … 339  疫学 … 340  治療 … 340  経済性とデータの解析 … 342   文献 … 345 21世紀へ … 349 索引 … 351

内容説明

本書は胃酸分泌およびその調節機構について、初期の研究から21世紀を直前にした現時点までの研究の歴史を振り返って考える目的で書かれたものである。今までに構築されてきた基盤に立脚して現代医学が進歩してきたことを述べるとともに、胃酸関連の消化器疾患の最先端の臨床治療について明確にふれることを特に意図したものである。

目次

1 胃における酸の産成
2 胃酸分泌の調節
3 酸分泌の薬理学
4 酸関連疾患の生物学
5 胃・十二指腸潰瘍
6 胃食道逆流症(GERD)―新ミレニアムにおける疾患
7 HELICOBACTER PYLORI

著者等紹介

サックス,ジョージ[Sachs,George]
George Watsons大学およびエジンバラ大学で教育を受け、生化学を専攻し、B.Sc.,M.B.,Ch.B.,D.Sc.の学位を取得している。20世紀の後半3分の1は胃酸分泌機序の研究、特にオルガネラ、器官、分泌腺、壁細胞および分子レベルまで幅広い研究に従事し、最近では内分泌細胞調節、ポンプおよびポンプ阻害機構と胃内細胞H.Pyloriの生理学に深い関心を持って研究を続けている。教授の研究の前半はアラバマ大学で、後半はUCLA,Wadsmorth復員軍人病院で現在も継続されている。消化器領域で、Alexander von Humboldt賞、Beaumontメダル、Middleton賞、Davenportメダル、Hofffman La Roche賞、Ismael Boasメダル、Janssen Achievement賞を受賞し、スウェーデンのGoteborg大学から名誉博士の称号を授けられる。UCLA医学部Whilshire地区の議長を務め、現在UCLA医学部・内科・生理学教授であり、米国復員軍人局の首席研究医である

モドリン,アービン[Modlin,Irvin M.]
南アフリカのOudtshoorn出身、ケープタウン、ダブリン、リーズ、ロンドンで教育を受け、1968年ケープタウン大学で最優秀学生として首席でM.B.を取得し、また、’75年には南アフリカ外科学会および王立エジンバラ外科学会から外科学金メダルを授与された。その後、ロンドンのHammersmith病院・王立大学院医学研究科で、消化器および内分泌外科学を専攻(’75~77年)し、また、UCLAの消化性潰瘍研究教育センター(CURE:Center for Ulcer Research and Education)で、消化管ホルモン生理学の研究に従事した(’77~79年)、’87年にエール大学で名誉文学修士を取得し、’89年にケープタウン大学から分子生物学で、Ph.D.を取得した。’89~90年にフルブライト奨学金を受け、’91年にはスウェーデンのGothenberg大学から名誉医学博士の称号を授与された。こまれでに、’94年ヨハネスブルグでI.N.Marks講演、’95年ブダペストでJena Polya記念講演、ロンドンでArris and Gale講演、’96年ベルリンでTheodor Kocher講演を行った。’97年には英国王立外科学会からHunterian教授、’98年には評議員に選ばれた。はじめ、酸に興味を抱き、細菌によるリンゴ酸から乳酸への発酵過程の研究に没頭した。引き続き、美術の他、料理法や葡萄酒醸造の科学にも興味を示すようになり、関心は「食」へと拡大していった。胃酸分泌の研究に多大な功績を残した医師、BeaumontおよびProutクラブの熱烈な会員として、酸の歴史および化学的洞察についての興味は大西洋をまたいで広がっている
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