感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
shikashika555
35
「謝られていない出来事」「撮るに足らない事として扱われた事」「他意無くされた嫌だった事」 それらは生への力を奪う。 自分自身を消費し続けて他者のために自分を差し出すやり方でした他者と関われなかった自分を、認め、許し、もう一度自分に統合してやる行為。 「他者と共にあること/この一文の中に「わたし」がどうしても必要なのだとやっと気がついた」というくだり。 ここに至るまでに長く迷い苦しんだ著者の、生きることに対する粘り腰(と、わたしには受け取れた)に大いなる敬意を持った。 圧巻の情報密度。2025/02/11
ぐうぐう
29
言葉にし難いものを言葉にしようとする時、そこにどのような目的が存在するのか。一番は誰かに伝えたいとの思いからだろう。と同時に自分自身を救うためでもあるはずだ。事実、まえがきにおいて齋藤美衣はこう書く。「そしてわたしはこの本を、半分はわたし自身のために書いたけれど、もう半分は今この文章を読んでくれているあなたのために書いている」さらに、こうも続ける。「これはわたしの物語だが、同時にあなたの物語でもある」と。14歳で急性骨髄性白血病を患い、絶望の果てに死を意識したものの白血病は寛解し(つづく)2025/02/12
梶
24
魂を削った言葉は、読み手を重く穿つ。そしてそのような本こそ、きっとこの生にとってすばらしいものなのである。自閉スペクトラム症、白血病、摂食障害、ASD傾向、というラベル自体から一歩踏み込んで、自らの傷の淵源を見ようとする凄絶なこころみ。「庭に埋めた」=抑圧されて/してきた記憶を、自らに資する時間を作ることで、取り戻そうとするところが興味深い。人生における要素が傷を軸にして並べられ、述べられていくのは、予想ができなくて、それでも感覚的な説得力に満ちていて読む手が止まらなかった。2025/04/30
えりか
24
世界に馴染めないと感じていた作者は14歳で急性骨髄性白血病に罹患する。が、『生き残ってしまった』彼女は強い希死念慮と摂食障害を患い、措置入院する。これは彼女が書くことにより、自分を掘り起こし『自分』と『世界』を見つめる記録だ。ひどく痛くて辛くて読むごとにしんどいのだが、自分はかなり彼女に引っ張られそうになったが、『死にたい』と感じている人も『生きたい』と感じていている人も読んでほしい。あなたにとっての生きるための答えはここにはないかもしれない。それでももしかしたら少しだけ呼吸がしやすくなるかもしれない。2025/01/25
R子
22
希死念慮に苦しむ著者が、自身の過去を振り返りながらその原因を模索する。土門蘭さんの『死ぬまで生きる日記』と重なる読み心地。本作の方がより自身の内面に踏み込んでいる印象だ。 14歳で白血病を患い、19歳で摂食障害に。ASDとADHD傾向にある等の体験やエピソードからみえてきたのは、タイトルにある“埋めたもの”の正体、自身が殺してきた感情の存在だ。 周りの状況や反応をみて、自分の感覚がおかしいのではないかと思ったり、気持ちが外に出せなかったり、、共感。けど、自分の気持ちを自分で受け止める強さは必須だと改めて。2025/01/13