感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ネギっ子gen
79
【わたしが一番欲しかったのが、合法的な安楽死だった】自閉スペクトラム症により、世界に馴染めない感覚を持ち、白血病に罹患するも病名が告知されず、世界から締め出された感覚になっていた著者の、“わたしと出会い直す”旅の記録。熱中して読む。<医療につながればわたしの話は病気や障害ということになった。カウンセリングにつながればそれは心の深いところの話になった。それらはもちろんそれぞれにわたしを助けてくれる可能性があったし、実際に助けてくれた(今も助けてくれている)。けれどもどちらも何かが足りない、と感じた>と――⇒2025/11/17
shikashika555
37
「謝られていない出来事」「撮るに足らない事として扱われた事」「他意無くされた嫌だった事」 それらは生への力を奪う。 自分自身を消費し続けて他者のために自分を差し出すやり方でした他者と関われなかった自分を、認め、許し、もう一度自分に統合してやる行為。 「他者と共にあること/この一文の中に「わたし」がどうしても必要なのだとやっと気がついた」というくだり。 ここに至るまでに長く迷い苦しんだ著者の、生きることに対する粘り腰(と、わたしには受け取れた)に大いなる敬意を持った。 圧巻の情報密度。2025/02/11
ぐうぐう
31
言葉にし難いものを言葉にしようとする時、そこにどのような目的が存在するのか。一番は誰かに伝えたいとの思いからだろう。と同時に自分自身を救うためでもあるはずだ。事実、まえがきにおいて齋藤美衣はこう書く。「そしてわたしはこの本を、半分はわたし自身のために書いたけれど、もう半分は今この文章を読んでくれているあなたのために書いている」さらに、こうも続ける。「これはわたしの物語だが、同時にあなたの物語でもある」と。14歳で急性骨髄性白血病を患い、絶望の果てに死を意識したものの白血病は寛解し(つづく)2025/02/12
梶
29
魂を削った言葉は、読み手を重く穿つ。そしてそのような本こそ、きっとこの生にとってすばらしいものなのである。自閉スペクトラム症、白血病、摂食障害、ASD傾向、というラベル自体から一歩踏み込んで、自らの傷の淵源を見ようとする凄絶なこころみ。「庭に埋めた」=抑圧されて/してきた記憶を、自らに資する時間を作ることで、取り戻そうとするところが興味深い。人生における要素が傷を軸にして並べられ、述べられていくのは、予想ができなくて、それでも感覚的な説得力に満ちていて読む手が止まらなかった。2025/04/30
えりか
26
世界に馴染めないと感じていた作者は14歳で急性骨髄性白血病に罹患する。が、『生き残ってしまった』彼女は強い希死念慮と摂食障害を患い、措置入院する。これは彼女が書くことにより、自分を掘り起こし『自分』と『世界』を見つめる記録だ。ひどく痛くて辛くて読むごとにしんどいのだが、自分はかなり彼女に引っ張られそうになったが、『死にたい』と感じている人も『生きたい』と感じていている人も読んでほしい。あなたにとっての生きるための答えはここにはないかもしれない。それでももしかしたら少しだけ呼吸がしやすくなるかもしれない。2025/01/25
-
- 和書
- 冥土行進曲 角川文庫




