感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
まつだ
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臨床と研究の境目、その前提となる患者の利益、研究の目的の定義、あいまいにして共通化されていない研究倫理の入門書。疑似対談形式、講義形式で著されているためするする読める。研究に限らず、人の行動倫理として、誰のためなのか、その誰は、いつの誰を指すのか、などなど。「よかれ」の共通化は時代とともに変わってゆくし、その要求はどんどん膨れ上がってゆくんだなぁ……。ただ、あらゆる行動、判断において、その立脚点を説明できないのであれば、選択しちゃダメなのは絶対だと思う。2021/11/07
きぬりん
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臨床研究での被験者保護としての研究倫理の入門書。研究と診療の区別、インフォームド・コンセント、リスク・ベネフィット評価、研究対象者の公正な選択というベルモント・レポートの枠組みに即しつつ、研究倫理の基本的発想を平明に解説するとともに、そこから派生する個別的問題として、革新的治療、治療との誤解、不当な誘引、研究の社会的価値、同意能力評価等をめぐる学術的な議論も紹介されている。三人の対話による物語形式で、実際の倫理審査の場面で人々を悩ませる具体的な問題も織り交ぜつつ話が進むので、非常に読みやすく分かりやすい。2021/01/10