出版社内容情報
好評書『大人の発達障害ってそういうことだったのか』の続編企画。今回も一般精神科医と児童精神科医が、大人の発達障害(自閉スペクトラム症・ADHD・)をテーマに忌憚のない意見をぶつけ合った。過剰診断や過少診断、安易な薬物投与、支援を巡る混乱など、疾患概念が浸透してきたからこそ浮き彫りになってきた新たな問題点についても深く斬り込んだ。
宮岡 等[ミヤオカ ヒトシ]
著・文・その他
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
がみ
30
長年、子どもだけのものと思われていた発達障害。近年は様々なメディアでも取り上げられ、「大人の発達障害ブーム」が起きているが、誤った情報の拡散や安易な診断に継承を鳴らす一冊。 ネットに転がっている発達障害診断ツールやDSMの記述のみで障害の有無判断してしまう「過剰診断」もあれば、統合失調症や不安障害といった精神障害と判断されて、見逃されてしまう「過小診断」も起こっているのが発達障害の難しい所である。 障害を''個性''と割り切ってしまうと「個性に税金を使うのか」という意見が出てくるという話は目から鱗だった。2021/04/30
Asakura Arata
5
診断は結局何を基準にすると良いのやら。全てのツールが不十分であり、全てを総合して個々の医者が判断するのであれば、医者によって違う診断になるのは当たり前。そもそも診断はなんのためにあるのか。高機能の発達症圏の人は、別に診断しなくても、その人のプロフィールと対策を伝えるだけで十分だと思う。あとは診断書のための診断と言うことになるだろう。診断書用の診断ということに関しては、私の場合昔と比較して明らかに過剰診断になっていると思う。なぜなら特性を持つ人が、この国において暮らしにくくなっているから。2018/07/23
つなぐ
5
内容的には最近の発達障害を取り巻く動向を踏まえて、治療のあり方を前著同様に対話形式で掘り下げていくものになっています。前著同様、ベンゾ系のADHDへの使用は不注意を増加させないか、ADHDにASDが併存しているケースは経験的に5割はいるなど、突っ込んだ記述が面白いです。医療者向けに診断のコツなどは詳しいですが、具体的支援は少し物足りない記述しかありません。医療者向けですが、この本に限らず専門医は論文を色々読んで全ての精神科医が発達障害を当たり前に診れるようになってほしいものですね。2018/08/01
セルジオ肥前
4
著者二人の問題意識には共感できる点が多い。昨今のメディア(特にNHK)における取り上げ方は表層的で、却ってトラブルの種になりそうな気がする。2018/11/25
Red-sky
3
なんか今回は診断論がメイン。たしかに今の社会はすぐ発達障害っていうのはすごい気になる。精神科って人によって診断マチマチだし、コメディカルも診断という発想を持つことが大切ということは肝に銘じてもっと医学の勉強もしないとと思わさせられた。もっといろんなところで勉強会とか開催してないかなぁー。確かに周囲にも議論する熱量がある同世代っていないんだよな。2019/11/10