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出版社内容情報
近年精神科領域で関心の高い「大人の発達障害」について、症例を通じて発達障害的な特徴を見出すポイントや具体的な支援・サポートの在り方について考察するもの。実際の診療場面を流れに沿って紹介し、どのようなやりとりで発達障害を疑ったのか、そのときに何を考え、具体的にどのような指導をし、その結果どんな効果や変化があったのかを紹介する。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
れい
8
【府立図書館】豊富な事例集ではあるが、架空事例であるとのことである。双極性障害、強迫性障害、ボーダーライン、うつ病など、様々な診断が付いていても、ベースにグレーゾーンの発達障害があるのでは?と疑ってみるところは、どの事例にも共通している。冒頭で、著者はスペクトラム理論にたいして『あなたも私も発達障害』と表現している。健常者のバイポーラーと発達障害のそれと、境目がないなら、どこで判断するのか…精神科医の力量次第となると思う。いろんな意味で考えさせられる一冊だった。2018/08/07
hiyu
6
後半の症例提示も興味深いものであったが、前半部分をみると発達障害とはその診断までの過程が重要であると認識した。極端に言えば、その診断はいらないのかもしれない。眼を曇らせることにもなるだろうし。2020/01/07
Glitter
4
素晴らしい事例集。 すべての精神疾患の基礎に発達障害があると考えたいというような記述に衝撃を受けた。 自閉「スペクトラム」症と名称が変わったことからもわかるように、発達障害はスペクトラムである。 完全な0か100かの診断は時代遅れになった。 生理的、心理的、社会的要因によって、発達障害的な特徴が現れたり消えたりする。 一次障害である発達障害に介入することで、二次障害である他の精神疾患を治すという発想が面白い。 二次障害への介入だけ行われて慢性化していた患者さんも、この方法なら回復する可能性があるだろう。 2019/11/27
つなぐ
3
発達障害の症例集です。グレーゾーンの発達障害は環境次第で白にも黒にもなるという筆者の考えに基づき、症例の中で筆者の病因の見立てと環境調整等の具体的な介入が示されています。発達障害当事者が自分への認知を深めて必要な援助を得るためにも、定型発達が周りに変わった人を理解し援助につなげるためにも役立つ本です。良い本だと思います。2016/03/09
ハナさん*
2
2015年6月1日初版第1刷、2016年9月15日第3刷。県図より。大人の発達障害の「診断や対応に迷う症例から考える」ということで、軽症・境界群=灰色事例に関する症例集が大半を占める。単なる経過記述でなく、何故にそう診断したのか、この症例からどのような学びを得たのかといった、現場で診療に関わる医師の、生の声が記されている。グレーゾーンの患者をどう診断し、対応していくかという記述が中心かと思ったら、違った。他の精神疾患と思われる症状を呈していた患者の基底に、発達障害特性があると診たら、うまく対応できた例だ。2024/03/10