出版社内容情報
臨床の海で「シケ」に巻き込まれたら教科書を見ればよい。では原因がはっきりせず、成果もあがらない「ベタなぎ漂流」に追い込まれたら? 最先端の臨床医がたどり着いたのは、《漢方》というキュアとケアの合流地点だった。病気の原因は様々でも、それに対抗する生体パターンは決まっている。ならば、生体をアシストするという方法があるじゃないか! どんなときでも「アクションが起こせる」医療者になるための知的ガイド。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
たまきら
18
西洋だから、漢方だから、こっちのほうがいいんじゃない?というような私たちの思い込みをやさしく修正し、自分の力を引き出す手助けを文章から引き出してくれているような本です。まさに「水先案内」。面白く読みました。2016/05/27
きゅー
8
ちょっとしたきっかけもあり漢方について知りたいと思ったのだが、意外と適当な本が見当たらない。利用者・一般向けの本は具体的な実践方法の話に偏り、医師・薬剤師向けの本は歯が立たない。その中間的な内容として本書が挙げられる。漢方だけで病気を治すのではなく、西洋医学の援用として漢方を用いる方策は理にかなっているように思われる。本書の惜しむらくは、著者が歴史好きを自称しているだけあって過去の話が多いこと、執筆時点では臨床経験もあまり多くないようで、研究データに基づいた最新の情報提供が少ないことだろうか。2023/07/20
まろすけ
7
僕はなぜ東洋思想をこれまでないがしろにしてたかなあ、と反省しちゃう刺激的な内容。⚫単一成分で強烈に作用する薬剤よりも、多成分で複数の作用点に系として効くほうが生体に及ぼす歪みが少なくなる⚫ほんとうの科学的とは、反証を受け付けないのではなく、反証の反証を大切にし、それを分厚くしていくこと⚫吉益東洞ら古方派によって、傷寒論を中心に再編成された医学体系を『漢方医学』と呼ぶ。日本独自の発展⚫漢方薬の使い方についての学問を『漢方』、鍼灸医学や中国古来の伝統的な考え方(五臓論や陰陽五行説)を『東洋医学』と称し一応区別2018/10/06
skr-shower
5
鍼灸や漢方には日頃お世話になっているので読んでみた。西洋医学と対立するものではないから、うまくお付き合いしていきたい。2021/05/06
井の中の蛙
4
漢方というより漢方流の(もっといえば筆者流の)臨床の知について、東畑開人『ふつうの相談』でいうところの「ふつうの相談B」あたりのことを多く語っているように見受けられた。(ちなみに、この本の著者も東畑も中井久夫氏に影響を受けている。)また、少々エッセイ風で、方向性が分かりづらかった。漢方薬が保険適用となった経緯については知らなかったので、勉強になった。2023/12/16