出版社内容情報
『神、人を喰う』でサントリー学芸賞を受賞した気鋭の民俗学者は、あるとき大学をやめ、老人ホームで働きはじめる。そこで流しのバイオリン弾き、蚕の鑑別嬢、山中を渡り歩く電線作業員、郵便局の電話交換手ら、「忘れられた日本人」たちの語りに身を委ねていると、やがて目の前に新しい世界が開けてきた……。「事実を聞く」という行為がなぜ人を力づけるのか。聞き書きの圧倒的な可能性を活写し、高齢者ケアを革新する話題の書。
目次
第1章 老人ホームは民俗学の宝庫(「テーマなき聞き書き」の喜び;老人ホームで出会った「忘れられた日本人」;女の生き方)
第2章 カラダの記憶(身体に刻み込まれた記憶;トイレ介助が面白い)
第3章 民俗学が認知症と出会う(とことんつきあい、とことん記録する;散りばめられた言葉を紡ぐ;同じ問いの繰り返し;幻覚と昔話)
第4章 語りの森へ(「回想法ではない」と言わなければいけない訳;人生のターミナルケアとしての聞き書き;生きた証を継承する―『想い出の記』;喪失の語り―そして私も語りの樹海に飲み込まれていく)
終章 「驚けない」現実と「驚き続ける」ことの意味(驚き続けること;驚きは利用者と対等に向き合うための始まりだ)
著者等紹介
六車由実[ムグルマユミ]
1970年、静岡県生まれ。大阪大学大学院文学研究科修了。博士(文学)。民俗学専攻。東北芸術工科大学東北文化研究センター研究員、同大学芸術学部准教授を経て、現在、静岡県東部地区の特別養護老人ホーム内デイサービスに介護職員として勤務。論文に「人身御供と祭」(『日本民俗学』220号、第20回日本民俗学会研究奨励賞受賞)。『神、人を喰う―人身御供の民俗学』(新曜社)で2003年サントリー学芸賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ネギっ子gen
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shikashika555
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