出版社内容情報
本書は失語症など高次脳機能障害の専門家である著者が、心原性脳梗塞で倒れてから回復に向かうまでの自らの体験を、主治医、門下のスタッフらの協力のもと纏めたものである。発症当時から急性期病院での治療・経過、退院後の生活などが時系列でまとめられている。専門家ならではの、その知識に裏打ちされた“当事者体験”による科学的な分析を交えた筆致が注目される一冊。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
金平糖
1
B。煥語困難。2022/08/31
Yurika Ito
1
リハビリに関わった先生方からみた治療経過の手記の後に、関先生ご自身の内観が綴られる形式になっている所が気に入りました。おかげで1つの治療法の選択にも様々な解釈と視点があることを知りました。よくありがちなお涙頂戴の感情的なものは苦手なのですが、治療の経過が主観的になりすぎず、冷静に分析されていてさすが専門家、読みやすくて一気に読めました。Informed Choiceが気になった!2017/07/03
らんらんりんりんるんるん♪
1
専門的な話が多いので、医療職じゃない人にとっては分かりにくいところもあるかもしれません。ですが、関さんの回復の経過が細かく分かるのは良いです。本人の意識次第で、周りの支え方で、ここまでリハビリの効果が現れるのか…?!と思います。看護師のトイレの付き添いでストレスを感じたことが印象に残りました。いくら安全のためとは行っても、患者さんにとっては自尊心が傷つけられてしまう。声かけや配慮が大切だなと思いました。2015/10/29
糸
1
いつも通る道に春になると咲く草花がありました。増えたり閉じたりつぼみだったり冬は葉っぱだけだったり楽しみのひとつでした。ある日やってきた重機が土を掘り返し草花は消えました。『もう見れないのだな』露な土肌に悲しくなりその道を通らなくなりました。数年後、建てられた建物の脇からあの場所にあの草花が少しだけ咲いていました。私は駆け寄りました。……STならずもバイブル本かと思います。2013/10/25
sintach
1
臨床において、治療者は患者の人生に、ほんの少しだけ接触する事ができる。患者は治療者が知るよりずっと多くの時間を、患者として過ごしている。本書において、筆者は当事者として自らの病に翻弄され、生きる道を見つけながら、専門家としてそうした自分の変化を観察し、驚きと共に冷静に記述している。また、治療にあたったセラピストの寄稿や夫のブログ(なんか和む)が差し挟まれる事で、一つの病が多くの視点から描かれ、豊かな物語性を与えている。2013/06/23