感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
植田 和昭
9
史上唯一の実用ロケット戦闘機ドイツのメッサ₋シュミットMe163コメ―ト。今後も現れることはないであろう機種である。本書を読むと、事故に次ぐ事故。生きたままT液に溶解される搭乗員。実際の戦果は、数えるぐらいだが延々と事故は続く。このような機体に命を懸けたドイツの搭乗員に敬意を払う。日本版コメ―トの秋水の記述もあってとても良かった。ここでも初飛行は悲劇的な事故となるのだが。ろくな図面もなしで1年もたたずに機体を完成させた日本の努力には感嘆するが、燃料の大量製造からして難しかっただろう。世界にかんたるドイツ。2024/03/11
かば◎
2
世界で唯一の実用有人ロケット戦闘機Me163の訓練部隊~実戦部隊員の記録。機体の解説はよくあるがパイロットからの話は貴重。戦果より事故で失われるほうが多かった内実がよくわかるとともに、「それでも乗りたいパイロット」の業も感じる。ただし内容は尻切れトンボ。どうも英訳本からの重訳らしい気配もあり、Me163を隊員が「パワード・エッグ」と呼んでいたというのは「ホンマかいな」という感じ。前半で、エンジン操作レバー(レシプロなら普通、スロットルレバーだが…)を操縦桿と訳すような「なんだこりゃ」な部分も散見。2013/10/16
かば◎
0
移動中に読むものが欲しくて、適当に本棚から抜き出して再読していたもの。こんな中途半端な終わり方だったのか、と改めて愕然。「秘密兵器が戦局をひっくり返す」というのは、基本、ガンダム世界とかのおとぎ話に過ぎないのだなあ、ということがよく判る。付録の秋水開発記も貴重だが、最後の一文、「けれど、彼らの心の中の『自分たちは日本の空にロケット機を飛ばしたのだ』という自負心だけは消え去らなかった。」は、美談にまとめ過ぎ。2018/08/27