内容説明
“誘拐”をテーマに、細部にわたり徹底的に描き込まれた未曾有のサスペンス!静と動、緻密さとダイナミズムの映画美!この鮮烈な映像はどうやって生まれたか―その真相に迫る。
目次
序章 推理ものの精華―人間の尊厳とサスペンス
第1章 すべては“憤怒”から始まった
第2章 身代金受け渡しに斬新な手法
第3章 密室のドラマ―人間権藤の煩悶
第4章 特急こだまが走った
第5章 汗と執念の犯人追跡
終章 悪を徹底して激しく憎め!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
hiroshi0083
3
ドストエフスキーの諸作品から大きな影響を受けるとともに、ジョルジュ・シムノンを好んで読んだ黒澤明監督は、もしも刑事もの映画を撮る機会があったら、犯人の心理を描くという、かつて『野良犬』で出来なかった作りをしたいと思っていた。そんななかで、たまたま、エド・マクベインの「キングの身代金」を読み、そこで描かれる誘拐の形――誰をさらおうとも、誘拐は成り立つ、という着眼――に惹きつけられると同時に、誘拐に対する憎悪が大きな憤怒となり、誘拐をテーマとした映画を作ろうと考えた。原作本と違い、犯人には(コメントに続く)2016/05/09
まり☆こうじ
0
『天国と地獄』は久板栄二郎と黒沢明がメインで脚本を作ったらしい。橋本忍もチームに参加していたという話もあるが、クレジットにはないし、それらしい展開の妙もなく、脚本としては上出来とは言えない。本書を読んでもやっぱり成金重役と貧乏インターンのそれぞれの人間像と心理が焦点を結ばない。何もはっきりしないし、両者は完全に断絶しているということをテーマに据えたのであれば、それはそれで野心的ではあるが、そうでもなさそうだな。特急こだまの撮影舞台裏の失敗のエピソードなど非常に興味深いので、読みごたえはあるよ。2017/04/23
たれっくま
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ドキュメントにしては、著者の思い入れが強すぎる気がしないでもないけど、撮影現場の迫力は充分伝わってくる。散々観まくった映画なのに、また観たくなってソッコーで借りてきてしまったよ。2011/10/06
伊良林正哉
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映画では、山崎努の演技が秀逸でしたね。2008/10/03
Kuliyama
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久しぶりに映画を観て、この本も久しぶりに再読しました。映画は本当に素晴らしく、この本を読んでさらに確信しました。2022/08/07