感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
roughfractus02
8
著者は最初の著作でライプニッツの哲学ではなくシステムを探った。この場合システムとは部分を統合する全体ではない。ライプニッツによれば諸部分の中にも全体があり、両者は入れ子的関係にあるからである(一即多)。ライプニッツのシステムを体系があるのは確信できるが組織化しようとすると困難を感じると著者はいう。本書は、地図の与えられない迷宮的な「潜在的構成」を注視し、思考のアルファベットとしての秩序なき概念集合の結合法を、初期『結合法論』の近傍概念から始め、その多様性を持続させるものとしてモナドが導出される過程を辿る。2024/08/18
ひばりん
7
セールに馴染んでいる日本人は少ないが、松岡正剛さんが孤高のセール主義者であることはもっと知られていい。書籍と書籍の相互参照という発想(編集工学)は、明らかにセールの相互参照概念に由来する。だから我々読書人は”間接的に”セールのお世話になっているともいえる。セールは本当にすごい。セールは書籍のように世界を読み、世界を生きるように書籍を生きる。世界と書籍の相互参照は止まらない。世界はもっと身近で、書籍ははるか遠い。セールを読むなら、まずこの一冊。モナド論の意味が掴めれば、あとは目眩くセール哲学を堪能するのみ。2021/10/09
tsuyoshi555
0
「一方では体系的に組織されていることにすぐに気付き、確信しつづけるのだが、一方では・・・筋道の漠然たる観念を持ち、地図にはないのだが導きの糸だけは手に握って、ある迷宮の中を進んでいるという奇妙な感覚を持つ。・・・この両面的な感覚はライプニッツの企図したもの・・・と正しく対応しているのである。」この両面的な感覚は表裏一体@sun2016/06/15