感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ロビン
21
ハイネ研究者井上正蔵氏の退官にあたり、氏に献じるため弟子筋の研究者が中心になって編んだという論文集。「ハイネの詩における叙事性の意義」「ハイネにおける政治と文学の問題」といった感じで、一般書ではなく論文集なので自然専門的な細かい記述が多く、読むのに手こずった。ローザ・ルクセンブルグやベルトルト・ブレヒトらがどのようにハイネ精神を受け継いだかというような箇所は面白かった。ハイネの詩は武器であるので、両者のような言論戦の勇士こそが本来の後継者なのであろう。他に「ニーチェとハイネ」等の論考も読みたかった。2020/06/30