出版社内容情報
夏井いつきの第二句集、装いを改め、復刊。
40代の句、400句を収録。
この十年は、師から学んできたことを自分なりにどう昇華していけばよいか、考え続けてきた年月だった。憧れに縋りついているだけでは不甲斐ない弟子で終わってしまう。そんな己のひそやかな決意を師の前に差し出す400句。今回の句集はそんな緊張感に満ちた一冊でもある。
つながれぬ手は垂れ末黒野の太陽 いつき
さまざまな出会いの中で紡ぎ出される俳句もあれば、俳句から生まれる出会いもあるのだと知った。人や花や草や鳥や風や雲やさまざまなものたちとの出会いが、私の中でどんな言葉として結球していくか。これから始まる50代もたっぷり楽しみたいと思う。
(「あとがき」より一部抜粋)
【目次】
梟
愛国
寓話
口火
百年
あとがき
目次
梟
愛国
寓話
口火
百年
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
yumiha
43
『寝る前…』『食卓で…』と読んできた夏井いつきは、どんな俳句を詠まれているのだらふと句集を手に取った。40代の作品をまとめた句集。海ほうずきを鳴らす音を「ぶきぶき」、ゆるんだ空気を「たゆんたゆん」など、これまで見たことのない独特のオノマトペがいいなあと思う。「コスモスににらみをきかす赤ん坊」「のうぜんに火薬を詰めておきました」など、現代川柳のような俳句を(「川柳みたい」と言われるのを俳人は嫌うけども)、私も同居人も楽しんだ。「あなたがたもセイタカアワダチソウでしたか」は『寝る前…』で句の背景を読んだなぁ。2023/03/21
鳥類
0
個人的には前作の龍のほうが好き2022/05/18
lonely_jean
0
口語や現代仮名遣いを用いるにはやはり覚悟がいるのだとあとがきを読んでわかった。私は句歴より歌歴の方が長いが、短歌の作り始めの頃には難解に感じた文語と歴史的仮名遣いに、今はすっかり頼っている。それでなんとなくかっこよく作った気がする時期を脱しなければならない。夏井先生に怒られたい。2020/12/26
私的読書メモ3328
0
テレビ番組ですっかり人気と知名度を獲得し、そして短詩型の周知にも多大な貢献を果たしている作者の句集。ご本人の作品は初めて読みました。四十代の作を集めた第二句集を、再編集したものとのこと。読み易くかつ門外漢でもなんとなく感じられるものがあり、良かったと思います。2020/11/27