出版社内容情報
外国文学研究者による画期的な藤沢周平論。少年時代の読書から始めて
直木賞受賞に至るまでの藤沢の読書遍歴をたどり、時代小説の作家藤沢周平が
形成される過程を明らかにする。ダビ「北ホテル」、カロッサ「ルーマニア日記」、
シュトルム「聖ユルゲンにて」、チェーホフ「谷間」、水上滝太郎「大阪の宿」、
神西清「恢復期」などを取りあげる。特に、外国文学の影響の重要性に光を当て、
藤沢文学を深く理解するための新しい知見を提供する。
内容説明
少年時代の読書から始めて直木賞受賞に至るまでの藤沢の読書遍歴をたどり、時代小説の作家藤沢周平が形成される過程を明らかにする。特に、外国文学の影響の重要性に光を当て、藤沢文学をより深く理解するための新しい知見を提供する。
目次
特異な読書方法
少年雑誌と少年小説
姉の蔵書
文学開眼
師範学校から教員へ―乱読と習作
結核療養所―句作と勉学
業界新聞記者―作家修業の時代
直木賞受賞まで
「残った本」
読書体験の意味―藤沢文学の成立
著者等紹介
鯨井佑士[クジライユウジ]
昭和17年東京生まれ。東京外国語大学フランス語科卒業。東京大学大学院修士課程(仏語仏文学)修了。パリ第4大学に留学。宇都宮大学名誉教授。放送大学栃木学習センター元所長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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go
4
面白かった。こうやって見るとやはり小説家というのは先行作品から多大な影響を受けているものだなと思う。幼少期の少年小説の影響とか、それが基盤になっているのかなと思ったりした。藤沢周平の読書スタイルが濫読というのも良かった。自分も濫読派なので。叙情性について詩の影響とかは初めて知って、さらにそれが姉が残していってた蔵書からというのも面白いと思った。2024/02/26
zatugei
1
藤沢の少年期から、青年期、代用教員期、病気療養期、業界紙期などと時代を区切って、何を読んできたのか。そしてそれらが空の作品にどのように影響しているのかを丹念に検証している。カロッサ、シュトルム、ダビ、水上瀧太郎など、知らない作家ばかり。こういう研究もあるんだ。2020/02/29
相良
0
高校生の頃からずっと大好きな作家さんに関する本なので興味を持ったけど、エッセイとかインタビューで言及があったりその他裏付けがあるのかもだけど、○○の記述があったから△△も触れているに違いない!みたいな展開の仕方はちょっと乱暴かも…って思って引っかかってしまった。2023/12/01