内容説明
平和を訴えても、「悪」を排除しても、戦争はなくならない。「紛争屋」が高校生に語る、日本人と戦争のこれから。
目次
講義の前に 日本の平和って、何だろう?
1章 もしもビンラディンが新宿歌舞伎町で殺害されたとしたら
2章 戦争はすべて、セキュリタイゼーションで起きる
3章 もしも自衛隊が海外で民間人を殺してしまったら
4章 戦争が終わっても
5章 対立を仕切る
著者等紹介
伊勢崎賢治[イセザキケンジ]
東京外国語大学大学院総合国際学研究科教授。1957年東京都生まれ。早稲田大学大学院理工学研究科修士課程修了。インド留学中、スラム住民の居住権獲得運動を組織。その後、国際NGOに在籍し、アフリカで開発援助に携わる。国連PKO幹部として東ティモール暫定政府の知事、シエラレオネで武装解除、アフガニスタンでは日本政府特別代表として同じく武装解除を指揮する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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James Hayashi
31
高校生向けの講義。アフガニスタン、東ティモール、捕鯨、集団的自衛権、セキュリタイゼーション、ルワンダ、インド、パキスタンや原発の問題etc. 東ティモールだが、独立が正解だったのか?産業は石油や天然ガス。これは外資を活用し開発できるだろう。しかし雇用は限られたもの、またその産出ピークは既にすぎた。果たして独立が最良の選択だったのだろうか?著者の国連などの職員としての立場も明記されているが、日本の官僚とは違い,ある意味成り行きに任すやり方は、致し方ない態度であるが人間味があると思う。続く→2017/10/28
おさむ
25
反戦=平和ではない『平和と紛争学』をわかり易く説く良書。東ティモール、シェラレオネ、アフガニスタンなどでの経験に裏打ちされた説明に納得します。プロパガンダ、自衛権、人権……。多くの要素が複雑に絡み合う現代の戦争の建前と現実がよくわかります。全ての戦争は平和を求めてはじまるという事を肝に銘じたい。2015/08/22
壱萬参仟縁
19
集団的自衛権:国連的措置と解する。集団はお互い利害関係のあるお仲間の「集団」ではないため (131頁)。自衛的先制攻撃:本当に敵の攻撃が差し迫っていて、もう時間の猶予がないときの攻撃 (155頁)。セキュリタイゼーション:個人が日常生活のなかで、自身と家族の安全を希求する本能的 な欲求と戦争という国家の政治判断が直結しているツール(163頁)。 2015/05/18
はる坊
15
福島の高校生との対話形式で書かれた、戦争について考えさせられる本。これを読むと解決策なんかないんじゃないかと思うが、普段あまり知られることのない停戦協定はどうやって結ばれるのかとか、どのように武装解除させていくのかなどが、著者の経験を元に書かれているので、非常に説得力があり、考えさせられる。2015/02/24
ほじゅどー
14
★★★★震災後の福島で武装解除のプロが高校2年生18名に行った集中講義。今の日本の平和は何のおかげか?憲法9条、そして日米安全保障条約で米軍の傘の下にいる日本。米軍は抑止力。そして自衛隊の存在。セキュリタイゼーションとは、このままでは我々の未来が大変なことになると仕掛け人が脅威を煽り、聴衆を扇動する一連のプロセス。2017/12/04