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内容説明
母親のダイナマイト心中から約60年―伝説の編集者が、ひょうひょうと丸裸でつづる。大人気連載、ついに書籍化。笑って、脱力して、きっと死ぬのがバカらしくなります。
目次
地震と自殺
母の自殺
いじめと自殺
世間サマと自殺
観光気分で被災地巡礼
残された者
抗議の自殺
眠れない夜
お金と自殺
二人のホームレス〔ほか〕
著者等紹介
末井昭[スエイアキラ]
1948年、岡山県生まれ。工員、キャバレーの看板描き、イラストレーターなどを経て、セルフ出版(現・白夜書房)の設立に参加。『ウイークエンドスーパー』、『写真時代』、『パチンコ必勝ガイド』などの雑誌を創刊。2012年に白夜書房を退社、現在はフリーで編集、執筆活動を行う。平成歌謡バンド・ペーソスのテナー・サックスを担当(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 5件/全5件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
青蓮
119
自殺をテーマにしたエッセイ。著者のお母様がダイナマイト自殺をしたというエピソードが強烈でした。全体的にライトな語り口だけど、テーマがテーマなだけにやはり重い。青木ヶ原樹海の話が強く印象に残る。「自殺する人は真面目で優しい人です。真面目だから考え込んでしまって、深い悩みにはまり込んでしまうのです。感性が鋭くて、それゆえに生きづらい人です。生きづらいから世の中から身を引くという謙虚な人です。そういう人が少なくなっていくと、厚かましい人ばかりが残ってしまいます。」ラストに語られる著者の優しいエールが心に響く。2017/04/07
マエダ
89
”笑える自殺の本にしよう、そのほうが暗くなりがちのこのテーマに人々が関心を持ってくれる。”と著者のメッセージ通り不謹慎かもしれないが笑ってしまう。というより著者がウィットにとんでいて面白い。いきなり母のダイナマイト自殺を赤裸々に語っているがダイナマイト自殺という響きにパンチがありすぎる。自分的には二人のホームレスの章が一番よかった。2016/03/03
どんぐり
78
「朝日出版第二編集部ブログ」の連載をまとめた本。末井昭の母親がダイナマイト心中したのは7歳のときだ。この話は知っていたが、それをどこで読んだのか、昔購読していた『写真時代』に書いてあったのかもしれない。この末井さん自身の経験から、生きることに迷っている人に対して、終始優しい言葉をなげかけている。弱い者切り捨ての社会からはじき出され、生きづらくなってこの世の中から身を引くと、このロクでもない社会に謙虚な人がいなくなり、厚かましい人ばかりが残ってしまう。生きづらさを感じている人こそ死なないで欲しいと。2014/12/12
とろこ
69
7歳の時に、母親が、隣の10歳若い男性とダイナマイト心中したという著者。彼自身の半生もかなり下衆である。けれど、それらのことを、卑下するでもなく、特別視するでもなく、淡々と語っている。彼がインタビューした人々も、強者揃い。<自殺>という一線を越えた人と留まった人。何が違うのだろう。人とは異なる生い立ちや病を、笑いや売りにできる強かさなのか、単なる個人差なのか。きっと答えはないのだろう。それでも、「世間様」の呪縛から逃れられれば、少しは生きやすくなるのだろう、とは思えた。2017/09/25
ぷう蔵
65
著者の末井氏の母君の死に方って…凄いな。残された者たちは大変衝撃的だったろう。だが、あまりに衝撃的ゆえ、今はそれを喋れるのかもしれない。私も家族の中に自ら命を絶った者を持つ身なのだが、私の場合、この事実を隠すように生きてしまっている。その日は、普段と変わらぬ夜を過ごし、普通の朝を迎えたはずだった。しかし朝は只ならぬ絶叫から始まり、画面でしか見たことのない光景(ダイナマイトよりはマイルドであったが…。)がそこにあった。何も残さず逝った者はそれで良かろう。残された者は未だにその訳を知らない。2016/10/12