内容説明
21世紀の現代社会において、データ分析の多くの実践的現場では、すでにベイズ統計学が主流になっています。迷惑メールフィルタや画像音声のノイズ除去など、ベイズ統計学のない日常はもはや私たちには考えられません。またこの流れは決して止まらないでしょう。しかし、現在、特に文科系の大学における統計学教育の中でベイズ統計学の学習は十分とは言えません。技術的困難さが解決されたいま、社会・人文・行動科学の学部教育のなかで、ベイズ統計学の教育を充実させることは社会的急務です。本書は、文科系・理科系を問わず、ベイズ統計分析に入門を希望している方を読者として歓迎します。
目次
1 確率に関するベイズの定理
2 確率変数と確率分布
3 ベイズ推定
4 メトロポリス・ヘイスティングス法
5 ハミルトニアンモンテカルロ法
6 正規分布に関する推測
7 さまざまな分布を用いた推測
8 比率・相関・信頼性
著者等紹介
豊田秀樹[トヨダヒデキ]
1961年東京都に生まれる。1989年東京大学大学院教育学研究科博士課程修了(教育学博士)。現在、早稲田大学文学学術院教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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shin_ash
5
MCMCの概要と実践アプローチについてわかりやすかった。実装についても付録にコードの解説があるのでリファレンスになりそう。 MCMCの原理をメトロポリスーヘイスティングス法で解説し、ハミルトニアンモンテカルロ法の解説につなげている。 実践の部分では事前分布を一様分布とすることを前提に解説している。この為か、事前分布と尤度の定義に重きをおく他書に比較し、評価の為に生成量を定義することを強調している。 実践に向けた理論を押さえたい読者には向いていると思う。2016/05/04
こひた
3
記述明瞭だが自分の統計学理解が浅く後日再読を考えている。ベイズ更新の着想自体はかなり古いというのに驚き。事前分布を恣意的に選択するのは,公的な領域では差別問題などへも。気軽に触れる統計ツールないもんかなと探してたら,ezrがよさそうでなんか遠回りした感。2021/11/11
shin
3
前半はよくあるベイズ統計の本だが、後半のアルゴリズムの説明を思い切ってHMCの解説で組み立てたことと、その後の実践例が載っていることが他書との差別化ポイントかと思う。 説明が駆け足なので、久保緑本が実質前提知識として必要な感じ。緑本から入れば、MCMCの理論的な見通しと実践例を見れてホクホクできる。2019/12/30
Yoh Sano
2
1週目はよくわからなかったが、何回も読み進めていくうちに理解が進んだ。 初心者が一番始めに手をとるべきではなく、入門書を読み終わった方で数式が嫌いでない方であれば問題ないかと思う。 ベイズ統計学が主観的な確率であることやハミルトニアンモンテカルロ法などを幅広く学ぶことができます。2018/12/31
nukadoko
2
HMCとNUTSの勉強の為に読む。仕事ではHoffman and Gelman (2014)をCで実装して使っていたが、イマイチNUTSの理論背景がちゃんとわかっていなかったので、その理解のために役に立った。とても丁寧に書かれているために一気に読める。HMCの日本語で唯一無二の名書! 一応基礎から書いてあるが、ベイズ初心者が読み通すのは難しいかもしれない。まずはMHをやって、不満点がどうHMCで解決するか知りたい人向け。ただNUTSをRStanで使いたいだけなら松浦氏の名書の方が良いかもしれない。2017/08/25