感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
るぴん
41
全3巻読了。『どろろ』というタイトルだが、前半の主人公は明らかに百鬼丸。彼が生まれる前に妖怪達に奪われた、48ヶ所もの身体の部位を取り戻す旅を続けるうちに、どろろの生い立ちや隠された宝の謎も出てきて、どろろの真の成長が始まるんだろうなぁという所での幕切れ。打ち切りじゃしょうがないけれど、連載当時は人気なかったのかなぁ…面白いのに。改めて思ったけれど、確かに手塚作品は異形の者達の話が多い。「どんなにみじめっぽくたって、いためつけられたって、おいらあ人間だぞ‼︎バカヤローッ」どろろの叫びが心に刺さる。2019/03/09
Roko
22
解説は手塚眞さんが書いているのですが、眞さんが子供の頃、手塚先生と妖怪の話ばかりしていたというのは、実に微笑ましいお話です。そして、百鬼丸というキャラクターがブラックジャックにつながっていくという話は、実に興味深いです。百鬼丸がいくらみんなを助けても化け物だと言って村を追われるのと、せっかく患者を治療してももぐり医者と卑下されるブラックジャックは確かに同じような運命である気がします。ちっちゃいけど気が強い「どろろ」の生まれ変わりがピノコなのかなぁって思えてきました。2022/08/28
takka@ゲーム×読書×映画×音楽
17
妖怪漫画といえば水木しげるの『ゲゲゲの鬼太郎』が有名であるが、手塚治虫の『どろろ』を読んで、それに負けないぐらい面白いストーリーの漫画だと感じた。主人公は百鬼丸という48の体の部分を父によって妖怪の生贄にされた青年。職人の養父によって義手義足など様々な身体を造ったほどの腕前。その百鬼丸が、自分の体の部分を奪った妖怪を倒して本来の身体を取り戻すというのが話の根幹。人間と妖怪という二元論で描くのではなく、百鬼丸という奇人を描くことによって村人が異物だとして村から追い出すシーンなど人間の暗い部分も描いている。2021/09/20
緋莢
16
完結巻。どろろの背中に書かれた大金の隠し場所。それを狙い、かつて、どろろの父親・火袋の部下だったイタチが現れます。サメを自在に操る少年との戦いを経て、宝を横取りしようとする武士が現れたことで初めは敵対していた百鬼丸&どろろとイタチは共闘します。オチは・・・上手く決着する案が思いつかなかったのかな~と。子どもと引き離され、戦場で受けた矢で死んでしまう馬・ミドロの話が結末含めて切なかったです。父・醍醐景光との決着らしきものもあるラストですが、やや消化不良感が(続く2018/11/12
白義
12
まだまだいくらでも広がっていきそうだったが残念ながら打ち切りエンド。本当にここから、というところで終わるのが名残惜しい。内容自体はパターン化していたので、次の長編エピソードまでは持たせてほしかったのだが、でもこの二人にはこのラストもまた悪くないかもしれないと後から見たら感じるのが不思議。醍醐景光との因縁に決着をつけたところで一区切りついたのもそう思わせるのか。他のメディアミックス作品で補完もいいかも2014/06/10