内容説明
1996年9月27日、アフガン政権崩壊。タリバンが首都カブールを制圧―生まれたときから戦争が日常の風景だった少女ビビは、初めてタリバンの厳しい監視下に置かれた生活を送ることに。ビビは何を決意し、生きる支えを持ち続けたのか。若い人へ向け、遺言の意を込めて放つ、渾身の一冊。
著者等紹介
帚木蓬生[ハハキギホウセイ]
1947年福岡県に生まれる。東京大学仏文科卒業後、TBSに勤務。退職後、九州大学医学部に入学し、医学の道へ。1979年処女作「白い夏の墓標」が直木賞候補となり注目を集め、その後「三たびの海峡」で吉川英治文学新人賞、「閉鎖病棟」で山本周五郎賞、「逃亡」で柴田錬三郎賞など多くの文学賞を受賞。精神科医として働きながら、精力的に執筆活動を続けている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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mocha
55
アフガニスタンに住む少女の目を通して、タリバンに占拠された時代を描いた物語。子ども向けで平易な文章だが、イスラムの文化や宗教について理解が深まる。日常の描写から得られるものは、ニュースを通じて知った気になっていたことより、実感を伴う。ただこの装丁とボリュームでは関心を持つ子どもは少ないかもしれない。まずは大人から手に取って欲しい本。「ソルハ」=平和。「無関心と無知は大きな罪」(著者の言葉より)2015/07/29
ゆうゆうpanda
37
日々見聞きするニュースの中でアフガニスタンという言葉は馴染みのあるものだ。しかし、アフガニスタンについて本当に興味を持って、その国の人々を理解しているかと問われると恥ずかしい限りだ。内戦、その後に訪れるタリバンの支配により人々は踏みにじられる。特に、教育の機会を奪われブルカによってその人格さえも隠すことを強要された女性たちの絶望は計り知れない。少女ビビはそんな中でも自宅で勉強を続ける。勉強することで望む自分になるために。アフガニスタンが彼女を必要とする日のために。私も世界情勢について関心を持たなければ。2015/08/17
takaC
28
本の分類的に仕方ないのかもしれないが、他人が書いたアンネの日記的な印象の本になってしまっていて、少し残念。2011/08/15
藤枝梅安
27
「ソルハ」とはダリ語で「平和」の意味。 アフガニスタンの少女・ビビの物語。筆者はこの小説を少年少女向けとしている。 タリバーンが実効支配を敷いた96年から01年までのカブールの家族の生活を通し、 アフガニスタンの近年の激動の歴史を描く。 バーミヤン石仏破壊、マスード司令官暗殺、アメリカ同時多発テロなど、忘れてはならない事件を紹介し、 現在のアフガニスタン情勢へと読者の関心をひく構成である。2010/04/14
ゆみねこ
24
今まで知ることのなかったアフガニスタンのこと。96年から01年までのタリバン支配下の首都カブールでの少女ビビの成長譚。女性はブルカの着用を義務付けられ、教育を受ける機会を奪われる。過酷な運命に見舞われながらも、亡き母の遺志を受け継ぎ勉強する姿勢に感銘。「ソルハ」は平和という意味だったのね。子供向けに書かれているけれど、大人も読むといい。2012/05/29