内容説明
クラスで浮いた存在のエリックとサラ・バーンズは固い友情で結ばれている。高校生になって水泳部に入ったエリックは、サラ・バーンズ以外の友人ができたが、彼女との友情のため、とある決心をした…。現代社会をえぐり出すように描いた愛と勇気と友情の物語。
著者等紹介
クラッチャー,クリス[クラッチャー,クリス][Crutcher,Chris]
アメリカの小説家。主に若い世代を対象とした作品を書いている。作家活動の他に児童およびファミリーセラピスト、児童養護活動も行っている
西田登[ニシダノボル]
愛知県生まれ(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
星落秋風五丈原
33
エリックが無理な努力をしてまで守ろうとするサラは、さて守らなければいけないようなか弱い女の子か。いやいやそうではなさそうだ。クラスメートの中傷にもどこ吹く風で、舌鋒鋭くどんな相手にも立ち向かってきた。高校でディベートクラスを担当する教師シンシア・レムリーは、中絶や宗教といったデリケートなテーマで紛糾する教室を冷静なかじ取りで仕切るが、事なかれ主義の副校長モーツには睨まれている。エリックの母親の恋人カーヴァ―・ミドルトンは、一件女性にまめな優しい男に見えるが、実は壮絶な過去を背負っている。2022/11/11
ちくわ村長
10
どうしようもない悲惨な気配。それをかき消そうと強がる少年少女達は強がることでかえって壁を作ってしまう。それによって誰かの助けが必要なのに気づけなくなっちゃうんだ。自分自身に責任をもつことって大事だけど本当に八方塞がりなときはやっぱり誰かの助けが必要なんだよね。2012/04/29
不在証明
9
どうしてそんなこと、できるのか、わからないけれど。痛む心の持ち合わせの無い人間というのは、いる。いろいろなやり方で虐待された子供たちが、たくさん出てくる。デブのエリックが醜い火傷顔のサラのために起こした行動、子供を救うべく動いた「かっこいい大人たち」、あとがきでも触れられているように、話が「でき過ぎ」でも気にならない。損得勘定抜きで他人を助けられる人は格好良い。誰かのために何かをする彼ら彼女らは、それしか言ってないけど、しかし本当に格好良いんだよなぁ。2017/05/26
joyjoy
7
ブリテンやデイル、はじめは困った存在に見える彼らも、最後には救いの兆しがみられるのに、大人は。。。いやな大人がいやな大人のままなのが悲しい。でも読んでいるときは、そのいやな大人がやり込められる場面が爽快だったりするのだ。。。「恥を知れ」。自分に言われているようで、グサッとくる。2021/11/07
jamko
6
BOOKMARK創刊号のYA特集で紹介されてた一冊。デブのエリックと顔に火傷傷のあるサラ・バーンズ。固い友情で結ばれていた二人だけど、ある日突然心を閉じ精神病院に入院したサラ・バーンズのためにエリックは何ができるのか。スクールカースト、虐待、中絶の是非、経済的格差、ステップファミリー…ティーネイジャーを巡る問題を可能な限り盛り込んでうまく落とし込んでるよね。現実はそんな甘いもんじゃないよって意見もまぁわかるけど、関わる人間たちそれぞれが良きことをしようとした、それが繋がった希望の光には素直に泣けた。→2015/12/13