出版社内容情報
突然、笹原家に加わることになった老犬、長太郎。人のグチを聞いたり、お酒を飲んだり、あげくのはてに、電話番まで頼まれて……。
小学校高学年以上向き
内容説明
『ぼくには本当のおかあさんがいません。今いる母は継母です。ぼくはこれまで、毒入りトマトをなんべんも食べさされました』これが、ぼくの作文です。突拍子もない…これが現代の家族像。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
更夜
1
嘘のない言葉。そんな短篇集。児童書という形をとりながらも、上野瞭さんのまなざしは現実を見つめている。表題作「グフグフグフフ」は老犬、長太郎が飼い主が海外に行く為、預けられた家の家族たちのあられもない姿。夫婦の間はいさかいばかり、大人を小馬鹿にしたような大学生の子供たち、辛辣な猫のネリ。かといって誰が悪者という訳ではなく、家族といってもばらばらな個人なんだ、ということを正直に描いています。他の短篇も似たような正直な言葉で読んでいて痛快。2014/05/03
FK
0
子どもたちが読んでその暗喩・隠喩に気がつくという趣向の短編集。まず犬の長太郎が主人公の表題作。人間にばれると大変。人語が解せ、話せるということ。/「つまり、そういうこと」では猫が電話に出て話をしてくる。ラストはふんわりしたいい話。/「ぼくらのラブ・コール」。これは非常に怖い話。戦前の日本社会であり、ナチ支配下のドイツの状況である。愛する、という言葉が脅迫に。/「きみ知るやクサヤノヒモノ」。自らの選択できない出生や両親の離婚などが少年を取り巻く。生きていくためには誰かに応援してもらわないと難しいということ。2006/04/13