出版社内容情報
「テツヨン」とよびあう仲良し4人組のムードメーカー、ダイキが引っ越すことに。変化を受け入れられない主人公トールは、おじいちゃんが残した言葉をきっかけに、見えていなかった「テツヨン」の内面に気づきはじめる……。オモテとウラの顔があることにはじめて気づいた怖さ。ウラガワをもつからこそ感じる人間らしい魅力……他人の心にふれるとまどいを、等身大の目線でみずみずしく描く。友情の変化がリアルな成長物語。
内容説明
トール、ダイキ、シュン、マチは、「テツヨン」とよびあう仲良し4人組だったが、ある日、ムードメーカーのダイキが引っ越すことに。トールはテツヨンの友情は変わらないと信じていたのだが…。オモテとウラの顔があることに気づいたとまどい。ウラガワをもつからこそ感じる人間らしい魅力…友情の変化を等身大の目線でみずみずしく描いた成長物語。
著者等紹介
佐藤まどか[サトウマドカ]
東京都出身。『水色の足ひれ』(第22回ニッサン童話と絵本のグランプリ大賞受賞・BL出版)で作家デビュー。『アドリブ』(第60回日本児童文学者協会賞)など多数。イタリア在住
佐藤真紀子[サトウマキコ]
東京都生まれ。挿画や装画を担当した作品多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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chiaki
48
永遠不滅だと思っていた幼馴染みとの関係『テツヨン』が、大樹の転校をきっかけに壊れ始め…。人にはオモテとウラの顔があることを思い知り、自分の本当の気持ち、相手の本音に気付こうと自問自答する徹。つい心にもないことを言ってしまったり、居心地のいい場所を探して無理して馴染もうとしたり…。“バランスのとれたトンジル”かぁ。おじいちゃんの遺した言葉“月にトンジル”が物語全体の軸になっていて面白かった。人づきあい、友達関係に悩む高学年さんに是非。2022/01/17
杏子
20
読みながら、自分の子ども時代を思い出していた。小学校の頃、仲がよくて互いにあだ名で呼びあっていた友達がいた。学校や家で一緒に遊んだり、図書室に本を借りにいったり、同じ本を読んだりで、仲良くしていた。私立の同じ中学校に行こうと誘われて、親に頼み込んで入ったのに、ある日、些細なことで喧嘩して仲違いした。もらった手紙や写真を燃やして捨てて、何にも接点がなくなった。学校を卒業したらそれっきり。この本を読んでいたら、久々に思い出した。テツヨンは誰しもが経験あることなのかもしれない。卒業=成長ということかもしれない。2021/06/27
白雪ちょこ
18
非常に良い作品。 小学生のトールが、幼稚園の頃から仲良しの3人組といつまでも一緒にいられると思っていた、が。 日に日に大人へ成長するにつれ、だんだん関係が崩れていき、最終的に全員バラバラに。 あの時のように、あの頃のように、いつまでも。と思う気持ちはわかるが、人の心は大きくなるにつれ、変わるもの。 亡くなったおじいちゃんの、「月ととん汁」という、人間の表と裏側を、うまく表現しているところも頷ける。 現実を飲み込み、心の葛藤と立ち向かい、自分の醜い部分をもようやく飲み込もうとしている彼の葛藤にも共感できた。2022/11/18
マツユキ
14
幼稚園の時から仲良しの四人組でしたが、6年生になり、関係がぎくしゃくし…。トンジルは、豚汁で良かったんだ。遊ぶ相手が変わっていくのも、自然なこと。誰もが通る道なのに、分かっていない主人公なのですが、身に覚えがあるぞ。読み終わってみると、良いタイトルと表紙。2022/06/29
風香
13
6年生の仲良し4人組は、仲間の1人の転校によって関係が変わっていく。 友達に本音を伝えにくくなったり、素直になれなくなったりする主人公トールの様子が、等身大でリアルに感じられた。私自身も転校を何回か経験したことがあり、かつての親友と交流を続けることの難しさを思い出した。距離があると共有できることが圧倒的に少なくなってしまうからだ。 冒頭のトールのおじいちゃんのメッセージが最後まで心に残る。「脂をうまく溶けこませて、バランスのとれた自分だけのトンジルを作らなきゃいけねえ。」 人もトンジルも旨みは大切。2022/01/16