出版社内容情報
心の病気で、学校でしゃべれない晴也と、日本語は一つもわからないブラジルからの転校生ジュリアナが、心を通わせてゆく姿を感動的に描く。
小学校中学年以上向き
内容説明
「晴也。」おばあちゃんは、晴也の頭をそっとなでました。「見えるものや、言ったことばだけが本当のことじゃない。人間は、見えない心の奥底に、いろんな思いやきずをかくしてるものだよ。」見えない心の奥底…。(ジュリアナちゃんもなのかな。)晴也は、ジュリアナの小さな背中を思い出していました。
著者等紹介
山本悦子[ヤマモトエツコ]
愛知県半田市出身。小学校教員。『WA・O・N―夏の日のトランペット』(ひくまの出版)で第7回新北陸児童文学賞受賞。「ももたろう」同人。愛知県在住
宮本忠夫[ミヤモトタダオ]
1947年、東京都に生まれる。人形劇団の舞台美術を経て、商業デザインや絵本、イラスト活動に入る。『えんとつにのぼったふうちゃん』(ポプラ社)で、絵本にっぽん賞受賞。『ゆきがくる?』(銀河社)で、産経児童出版文化賞受賞。『ぬくい山のきつね』(新日本出版社)で、赤い鳥さし絵賞受賞。『さらば、ゆきひめ』(童心社)で、日本絵本賞受賞。東京都在住
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
絵本専門士 おはなし会 芽ぶっく
8
保健士さんに借りた本。心の病で学校では声が出せない小3の晴也。1年生の時の友だちとのトラブルがきっかけです。ある日、日本語が分からないブラジルからの転校生ジュリアナがクラスにやってきました。ジュリアナも日本語が分からないので一言も声を出しません。晴也とジュリアナは似た者同士心が繋がっていくのですが、他の子どもたちも「バーモスブリンカル」と声をかけ始めます。ポルトガル語で「いっしょに遊ぼう」と!2019/10/22
はなびや
4
山本悦子作品では、学校の中に外国人が普通に出てくる。『神隠しの教室』『今、空に翼広げて』『がっこうかっぱのおひっこし』など。この作品は2003年の作品で、場面緘黙症の清也とブラジルからの転校生のジュリアナとの交流が中心となっている。黙っている子・大人しいと見られている子は、鈍いわけではない。言葉が人を傷づけてしまうことを知っているからこそ、言葉を発することをためらってしまうことがある。山本さんんの作品は展開がドラマチックだ。最後、読みながら涙ぐんでしまった。日本人・ブラジル人という垣根をこえて、2020/12/14
hautan
2
図書館リサイクル。地味ですが、なかなか心に響きました★32016/04/30
読書国の仮住まい
1
3年生の晴也のクラスに、ブラジルからジュリアナが転校してくる。 彼女は日本語が分からない。 晴也も学校では話せない。 家に招きぜんざいを振る舞う。 日本が寒いせいか、まるで銀行強盗のような格好で登校するジュリアナに周囲は囃し立てる。 晴也もまたジュリアナの家に行き、親子間のポルトガル語での会話についていけない体験をしてジュリアナの境遇に思いやる。 そしてジュリアナの帽子が木の枝に引っかかってしまい、これを取りに登ろうとする。 バーモス ブリンカル、どこで使おう? 著者の学校にも外国人の子供が多いとのこと。2021/02/26