内容説明
男が、はたおりどうぐをそろえると、女は、小べやのとをしめながらいいました。「どうか、やくそくしてください。わたしがぬのをおりおわるまで、けっして中をのぞかないと」。
著者等紹介
山下明生[ヤマシタハルオ]
1937年東京に生まれ、広島県能美島で育つ。京都大学文学部卒業。児童書編集を経て、70年に処女作『かいぞくオネション』(偕成社)を出版。以後、幼年童話、長編創作、英、仏語の翻訳と幅広く活躍し、『海のしろうま』(理論社)で野間児童文芸賞、『はんぶんちょうだい』(小学館)で小学館文学賞などを受ける。2004年紫綬褒章受章。熱海市在住
吉田尚令[ヨシダヒサノリ]
1971年大阪生まれ。イラストレーター。書籍の装丁や挿絵などを中心に活動(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ゆるまる子
18
知っている話は一人暮らしの男が鶴を助けたような気がしていたが、こちらは違う。鶴を助けた男は母と同居している。母の表情が悪そうな感じで気になる。女(鶴)を嫁にしたらと言ったり、女がはた織りを見ないでくださいと言うのをのぞいてみろと言ったり、なんでも母のいいなりになる息子が現代にもありそうな構図で少しイライラ。「つるのおんがえし」を読んでイライラするとは思わなかった。子供の頃に読んだらそんな風に感じないだろうけど、今読むと親子の関係性が気になる絵本。(2024-49)2024/06/27
雨巫女。
12
《図書館-返却》鶴さんの矢が刺さった姿は、いたそうだった。布団を買うお金で鶴を救ったのね。2013/12/17
あおい
10
「動物報恩譚」「異類女房譚」「見るななタブー」昔話の約束事が満載のつるのおんがえし。殿様に命令され布を織ってほしいと頼む男と命の限りやりましょうという女が見つめ合うシーンは儚げで切ない感じが素敵。2022/07/10
遠い日
7
吉田尚令さんの絵を求めて。見てはならぬと言われれば、絶対覗いてみたくなるのが人の常。悲しく美しい昔話。2019/12/17
しげ
6
昔ばなしは、その本の著者ごとに解釈や表現のバリエーションがありますが、この「つるのおんがえし」は胸糞が悪かったです。その時代の女性が家庭や社会から押し付けられたものの重さ、酷さに憤りを感じました。2024/05/22