出版社内容情報
お屋敷の庭で、植木を刈りこんだ「船」をみつけたぼくたちが、さっそく乗船してみると……。少年の日の夏の輝きを描いた大型絵本。
6歳から
★よい絵本選定
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Hideto-S@仮想書店 月舟書房
105
夏休みを親戚の家で過ごす姉と弟は、大きな屋敷の庭に忍び込む。森のような庭を進むと『みどりの船』を見つけた。二本そびえている木はマストと煙突。古い切り株に乗っている小さな小屋にはランプと舵がついていた。不法侵入した姉弟は、上品な婦人と『水夫長』と呼ばれる庭師の男に見つかってしまうが、咎められる事もなく4人は想像上の航海に出発する。その夏以来、庭の冒険は姉弟にとって大切な決まりになった。時は流れ『船』が自然に還っていっても、二人にはみえる。記憶の中のみどりの船が。子ども時代の大切な思い出。1998年5月初版。2016/03/19
seacalf
53
なにこれ、ものすごく素敵。ちょっとした想像力を駆使して、思う存分楽しんでいるお話はすごく大好き。夏休みをおばさんの家で過ごし退屈し始めた頃、アリスとぼくは禁じられていたお屋敷の庭に潜り込む。ジャングルのような庭を探検隊気分で奥へ奥へと進んでいくと…。名作『モモ』でも航海ごっこが描かれているし、ちょっとずれるがピカソ達のアトリエも『洗濯船』だった。今となっては気恥ずかしさが先に立つけれど、幼き頃によくやったものだ。あの頃は無垢だったんだなあ。トリディーガさんのように真剣にごっこ遊びが出来る大人は最高だ。2020/08/14
tokotoko
46
夏休みに田舎のおばさんの家で過ごすことになった姉弟のとってもささやかで、心温まる冒険が描かれてます。まるで字幕の映画を見てるようです!登場人物の声が聞こえてきそうです!(きっと絵とお話が抜群のコンビネーションなんだと思います)終わるってわかっているけれど、本当に読み終わると、とってもさみしかったです。お話の中の時間、ずっと止まってればよかったのに、って思ってしまうほど!「最近疲れたなぁー!」「毎日同じでつまらないなぁ!」って思われてる方、この本でちょっぴり早い夏休みを過ごして・・・元気になってね!2014/06/29
ヒラP@ehon.gohon
26
【再読】草木に囲まれた、船のような空間。歳月とともに自然に埋もれていくけれど、存在感たっぷりの船です。二人の子の成長とかけあわせて、とてもノスタルジックな作品です。2021/01/15
魚京童!
21
こういう世界が好き。もう戻れない、素晴らしい過去。常に輝き続ける過去。自分では戻れないから、後世に伝えるべき過去。輝いていたあの頃。いまやくすんで見る影もない。もう一度輝くことはできるのかしら。そんなことを考えても終わりがない。始まらない。いつかいつかと思っていたら、終わっていた。そんな人生なのだろう。そんな人生やだな。2020/03/22