内容説明
日本国憲法前文・9条に内包される自衛権によらない平和保障のあり方を、武装永世中立国スイス・オーストリアや「非武装・積極的永世中立」を宣言するコスタリカなどの実例検証をもとに構想し、冷戦後の国際関係を視野に入れた中立の法的概念を再定義する。
目次
国際的安全保障の動向
永世中立(論)の過去と現在
武装永世中立国の平和保障政策―スイスとオーストリアの場合
非武装永世中立国の平和保障政策―コスタリカの場合
新たな永世中立(論)の課題
日本国憲法の平和主義
日米安保体制と自衛隊の海外派兵
憲法9条と自衛権論
日本の「国連中心主義」と非武装永世中立論
非武装永世中立(論)の展望―憲法9条の国際化に向けて
感想・レビュー
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coolflat
13
日本国憲法の平和主義(前文、9条)が、あらゆる戦争や武力行使(侵略のみならず制裁や自衛の場合も含む)を放棄することと、一切の軍事力を行使しないことを特色としていることは、憲法の制定経緯から見ても、憲法規範の全体構造から見ても、「日本が太平洋のスイスとなるべきである」というマッカーサーの発言からみても、明らかだ。日本国憲法は伝統的な武装中立ではなく非武装永世中立を要請していると解される。とすれば、日本は永世中立の国家宣言を行うことが望まれる。そうすることが、国内法に過ぎない憲法9条を国際化することにもなる。2018/02/15