感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
袖崎いたる
10
世界一やさしい哲学史入門とされたファンタジー小説である『ソフィーの世界』についていろんな人が論じてる本。概ね批判は哲学者が、擁護はそれ以外が展開している。このことは哲学を考えるのに象徴的である。哲学者たちは哲学を自己揚棄的な学問とみなしているのに対し、そうでない人たちは娯楽として毒や薬という判断の彼岸に評価を見ようとする。まあ件の作品には「物わかりが良過ぎるソフィー問題」やらがあるが、この本での論者にも<楽しいもの>と<難しいもの>とを対立させる点などあり、読んでいて『ソフィーの世界』像が行方不明になる。2015/11/19