出版社内容情報
超能力少女と頑固じいさんの出会いから始まるSFファンタジー。第17回文化庁メディア芸術祭新人賞受賞作品!
紗名は「想像したものをすべて現実に出現させることができる」万能な超能力の持ち主。しかし幼くて未熟なため、能力を使いこなすことができていない。途方にくれていた彼女が出会ったのは、由緒正しい日本の頑固じいさん・蔵六。超能力も何も関係なく「悪いことは悪い」と真正面から説教してくる蔵六との出会いが、紗名の運命を、そしてこの世界の運命をも大きく変えていくことになる……。第17回文化庁メディア芸術祭マンガ部門新人賞受賞作品!
【著者紹介】
千葉県船橋市出身。2005年「アフタヌーン」四季賞2005冬大賞を『トラベラー』で受賞してデビュー。代表作に『ハックス!』『ぼくらのよあけ』(ともに講談社)がある。2012年連載開始の『アリスと蔵六』で第17回「文化庁メディア芸術祭」マンガ部門新人賞を受賞。「俺マン2013」で8位にランクイン。アニメと猫が大好物。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
まろんぱぱ♪
35
帯の通り、出会った三人の少女が親友になる話です。楽し気な表紙が物語ります。「私なんか、この世にいなければよかった…」居場所を見つけられない羽鳥は呟きます。紗名も自分が「居なくてもいいものなのかもしれない」と羽鳥と同じだと言います。しかし、戻りたいという言葉があゆに届く、羽鳥は大人へ償いを約束します、そして、母のもとに「ただいま」と戻ります。しかし、蔵六の出番が少ない(笑)これは紗名の成長故、仕方ないか?2017/04/23
いっちゃんず
22
物語の時間が突然昔に戻ったり、起こった物事についての説明が意図的に一部省略されていたりして、難解というか、読む力を試されるというか。それでも、基本的にこの物語世界は善意で満ちていて、その中で主人公の紗名と、紗名と出会った二人の少女が自ら成長を遂げたという事はきちんと伝わってくる。作者の力量ゆえだろう。2015/04/13
T.Y.
13
これにて羽鳥編完、かな。羽鳥をワンダーランドに連れ込んだ紗名だが、相互干渉のためか二人の能力が消え、ワンダーランドに閉じ込められてしまう。そこでお互いのことを知る二人。自分は果たして「いてもいい」のか、自己形成における深い不安に晒されながら、それでも「いようとする」ことを摑む少女達の成長。彼女達が自分で意志し動くのがメインなので蔵六の出番は少なめだが、揺るぎなくて良い。時系列の前後する描写から実際のタイムパラドックスに繋がり、時点の切り替えに白兎の時計を使う演出も巧みで少々ややこしいが素晴らしい。2015/04/13
ぺぱごじら
11
「赤の女王、友達を増やす編」。他人との価値観が初めてぶつかり合うのは幼稚園で、この巻ではそういうレベルの喧嘩と仲直りが延々続く。ただ大人が勉強だけを教えるだけでは決して身に付かないやり取りを、同い年の子供同士がすることに作者が(恐らく)意味を見いだしている点に強く共感する。メジャーデビュー作「ハックス」でもそういう「意味不明の妨害」の描写があったなぁとか思い出し、この作者の視点の高さが感じられた。2017-1702017/10/15
アーサー・エリス
7
ワンダーランドでの紗名と羽鳥の出会いと和解。そして蔵六が紗名を家族に迎えた理由が明かされる。アニメはこの話が最終回だったため記憶に新しい。「いる・いらないではなく、居ようとするべき」という紗名の答えや蔵六の持論がとても響いた。今まで散々追い詰められる羽鳥を見てきただけに、彼女が紗名と和解して、前を向くシーンは涙なしには読めない。アニメもそうだが、心から「よかった」と思えた。だが、どうも次巻では早くもこの平穏が新キャラによって壊されてしまうらしい…話は一段落したが謎はまだまだ残されている。次巻にも期待大。2017/07/12