徳間デュアル文庫 マリオネット症候群

乾 くるみ【著】

徳間書店（2001/10発売）

• サイズ 文庫判／ページ数 187p／高さ 16cm
• 商品コード 9784199050787
• NDC分類 913.6
• Cコード C0193

内容説明

とにかく私は驚いた。ある晩、目覚めたら、勝手に動いている自分の身体。意識はハッキリしてるのに、声は誰にも通じない―まさか私、何かに乗っ取られちゃったの！？誰の仕業かと思っていたら、なんと操り主は、あこがれの森川先輩らしいの。でも、森川先輩って、殺されちゃったらしくって…それっていったい、どういうこと？とっても奇妙なパラサイト・ストーリー。書き下ろしで登場。

著者等紹介

乾くるみ［イヌイクルミ］
１９６３年、「Ｊの神話」で第４回メフィスト賞を受賞してデビュー。本格ミステリ作家クラブ会員
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

[雪紫]

再読。相変わらずコミカル、スラップスティックでブラック。そして、妙にハッピーエンド。あとがきで当時マイナーとかイロモノとか言われるのも「そりゃそうだろ」なんだけど。とりあえずこの本のカカオは何％ですかね？　甘くもなく、それでいてビターでもない。でも不思議な味わいなのは内容覚えていても変わりない。

2022/02/14

[B A]

☆3.9 目が覚めたら自分の意思とは関係なく身体が動いちゃう！イタコ体質のせいで魂の器になっちゃったというちょっと可哀想な女子高生のお話です。パラサイト視点っていうのが斬新で良かったです🎵あと後半の悲劇なのか喜劇なのか分からない展開も個人的に好きでした(^^)d

2020/12/15

[たぬ]

☆3.5　自分の肉体に別人格が入り込んだ、しかもその別人格は死んでしまった憧れの先輩で…というのはありがちなパターンだけど、その先のドタバタはそこそこ面白かった。トリッキーな法則により一つの肉体に複数の人格が入ってわちゃわちゃしているのは妙に和める。でも口絵はダメ。編集の「こういうのを読者は求めてるんだろ（ニヤニヤ）」感が透けて見えて気持ちが悪い。

2024/06/20

[雪紫]

朝起きたら好きな森川先輩の体が私(里美)の中に。でも自分の意思で動けない。しかも先輩はバレンタインの毒入りチョコで殺された！ 普通なら先輩が自分を殺された事件を調べて里美は元通りになるはずが、里美どころか先輩まで楽観的なせいでコミカルに、そしてブラックに物語は進行(ある意味真相判明もあれだし)。ハッピーエンドなはずなのにチョコレートのように甘くない、むしろブラックなのにハッピーエンドな読後感。なんとも不思議な味わいでした。

[oz]

初読。メフィスト賞作家によるライトノベルで、他人に体を乗っ取られた少女による人格転移SFだ。しかし『オレがアイツでアイツがオレで』的な他人の体を得た事への違和感を描くのでなく、視点はあくまで乗っ取られた少女で、自分の体を誰かが操っているジレンマをスラップスティックに描く。このギミックがストーリーの基軸となって起承転結にまんべんなく作用していく様は面白い。

2011/07/30