出版社内容情報
梅田という地には、祈りと願いが込められている。
祈りは座敷わらしとして、広場の片隅に棲む。
菅原道真からはじまる梅田の歴史は、阪急を創設した小林一三、紀伊國屋書店をつくった田辺茂一へ受け継がれた。
令和のいま、茂一の座敷わらしが、大阪らしい予想外の展開を繰り広げているのを見ている。
祖祖母、父、娘の三代と、運命の縁でつながった人たちが、大阪梅田、西成、京都祇園を舞台に、虚実入り交じって描かれる、ちょっとあったかくて、良い物語。
内容説明
大阪の梅田にある紀文堂書店に勤める辻内彩は、店の前の広場から誰かに呼ばれた。実は、この地の発展に係わった阪急電鉄や紀伊國屋書店の創業者たちが、あの世から見守っていたのだ。彼らは、大阪万博の後、行方不明になった“地底の太陽”の事件に加担していた。そして今、ある目的をもって、彩とその家族に繋がる人たちを使い、その所在を明らかにしようとしていたが…。
著者等紹介
松宮宏[マツミヤヒロシ]
大阪生まれ。大阪市立大学文学部卒業後、アパレルやデザインの仕事に携わる。2006年、『こいわらい』で作家デビュー。同作は2013年に『秘剣こいわらい』と改題し文庫化され、絶大な支持を得る(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ぼっちゃん
54
大阪・梅田の阪急電車、紀伊国屋書店、ビッグマンが舞台ということで読んだ。主人公が紀伊国屋書店員(本では紀文堂書店)とのことだったので書店のことが多く書かれているのかと思ったが、主人公の縁の物語で書店物語ではなかった。’70の大阪万博の後、行方不明になった太陽の塔の第四の顔の”地底の太陽”なども絡め、大阪の地が多く出てくるので”大阪ほんま本大賞”には良いのかなと思った。2024/05/29
しげき
24
大阪へ行った時に紀伊國屋で買いました。学生時代阪急梅田駅でバイトしてて、個人的に馴染みのある場所なので懐かしさみたいなものを感じながら読みました。 JR大阪駅は昔と比べるとすごく変わりましたが、ビッグマン周辺は変わっておらず、「祈りの場所」の雰囲気は今もそのままです。2025/02/17
わむう
24
職場の人から借りました。梅田の紀伊国屋書店が舞台のお仕事小説かと思いきや、梅田と紀伊国屋書店の歴史、町に根付く書店の大切さと、これからの書店の未来が書かれていました。2024/11/16
陽ちゃん
7
大阪は梅田の紀伊國屋書店、ビッグマンそして阪急電車が何度も登場。阪急梅田には最近全く行ってない(もしかしたら10年位ご無沙汰かも)ので、懐かしく読みました。彩の実家のあるミナミの方なら分かるんですけどね。それにしても、スケールの大きい話で、歴史上の実在人物と小説上の人物が混在しているし、主人公彩の家族の広がり方が荒唐無稽だしで、混乱しましたが楽しめました。2024/07/15
まぁいっか
6
大阪の歴史も知れたし、あらゆる糸が繋がったし、期待していた以上に読み応えがあった。2024/09/03