出版社内容情報
ある日、祖父がフンボルトペンギンになった。この事態をすんなりと受け入れた柊也は、ペンギンになった祖父の世話をすることに。身寄りはなく、その上引きこもりの柊也。誰にも相談できないまま、一人と一羽の閉じられた世界は平穏に続いて行く。しかし、ある女性との出会いをきっかけに、日々に亀裂が入り始めて……。庭に埋めたスーツケース、いなくなった人。柊也の周りで事件は起きる。
第三回大藪春彦新人賞受賞者長篇デビュー作
内容説明
ある日、祖父がフンボルトペンギンになった。この事態をすんなりと受け入れた柊也は、ペンギンになった祖父の世話をすることに。身寄りはなく、その上引きこもりの柊也。誰にも相談できないまま、一人と一羽の閉じられた世界は平穏に続いて行く。しかし、ある女性との出会いをきっかけに、日々に亀裂が入り始めて…。庭に埋めたキャリーケース、いなくなった人。柊也の周りで事件は起きる。
著者等紹介
青本雪平[アオモトユキヒラ]
1990年生まれ。青森県出身。「ぼくのすきなせんせい」で第3回大藪春彦新人賞を受賞しデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
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相田うえお
75
★★★☆☆23083【ペンギン殺人事件 (青本雪平さん)】どう解釈したらいいものか凡人には受け止めきれない設定。なんと!朝起きたら祖父がペンギンになってた?しかもメス?あはは。当方、許容オーバ〜。でもこの作品、嫌いじゃないですよ。最初は一般的なファンタジー作品かと思ったのですが、思いのほかちゃんとした話(若干ミステリ要素あり)です。うまく生きれない孫(主人公)に対して、いつでもやり直せるということの抽象化モチーフとして『ペンギンも今から飛ぼうと思えばきっと飛べるようになるんだよ』で、祖父のペンギン化かな?2023/12/28
しゃお
24
朝起きたら祖父がフンボルトペンギンに?!特殊設定ミステリかと思ったら、ある事件をきっかけに高校を退学、祖父の家で引きこもっていた柊也が、自身が見たくないもの、目を背けてきたものに向き合えるようになる物語…なのかな。そもそも本当にペンギンはいたのでしょうか。同級生の宗像と柊也が二人で会話している時の違和感は果たして。それに最後の卵は何を示唆しているのでしょう。色々考察できる場面が多く、読んだ人同士で語り合いたくなるかも。2023/11/29
ichi
20
☆42023/11/20
ふみ
15
ペンギンとなった祖父と暮らす身寄りが無い柊也、やがて小学生の晴、アパート住人の菜月と関わりを持ち 坦々と日常が過ぎて行くが寂寥感が半端ない。独特の寂しい世界観がありミステリーと言うよりはムードを感じる話だった。評価B2024/08/10
moimoi
5
ある朝、同居する祖父の定位置にペンギンが現れ、その代わりと言うように祖父は消えた。ペンギンと、安普請のアパートの住人と過ごす、四季の一巡りを描いたシュールで物悲しい話。ハル、ナツ、アキ、フユが割り当てられた全員が何かを庇い、秘密を持っている。ブルじいさんのセリフを見て「作者は青森(弘前方面)にゆかりがあるな」と思ったらやはり。しかも自分と同じ年の生まれである。出身と出生年が同じ。それだけで好意的に読める自分も単純だが、作品全体に漂う閉塞感や、霞のような曖昧模糊な郷愁は雪国出身の人なら共有できそうだと思う。2025/03/22