出版社内容情報
ぼくが九歳、姉の風花ちゃんが十二歳になった四月に、お父さんとお母さんは、離婚した。理由を訊いたら「今は説明してもわからないと思うので、言わない」ってお母さんは言った――
じつは、父が専業作家を目指し、仕事を辞めたことが原因らしい。
仕事に復帰した母と暮らす小学生の姉と弟は、休みのタイミングで、父が暮らす海辺の町へ行く。
そこで出会う人々との交流で、子供たちは成長していく。
また、ひとり家で待つ母にも、心情の変化が……。
自分に素直に生きようする男と、その妻、子供たちのイマドキな家族のカタチを、それぞれの視点で繊細に描いた優しい小説を初文庫化!
解説:藤田香織
内容説明
僕が九歳、風花ちゃんが十二歳になった四月、お父さんとお母さんが離婚した。嫌いになったとかじゃなくて、お父さんが会社を辞めて、小説家を目指すことにしたのが理由らしい。僕ら姉弟は、お母さんの結婚前の名字になり、新しい生活が始まった。そして、夏休みにお父さんが住む海辺の町へ行くことに。そこで知り合う人たちとの体験を通し、小学生の姉弟は成長していく。
著者等紹介
小路幸也[ショウジユキヤ]
北海道生まれ。札幌の広告制作会社にライター、エディター、プランナーとして勤務。退社後執筆活動へ。メフィスト賞を受賞した『空を見上げる古い歌を口ずさむpulp‐town fiction』でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぽろん
39
何だかなあ。子供達に寂しい想いをさせているのは、事実な訳で、、。発展的離婚?!物わかりの良い子供達が健気。2022/09/04
ピース
31
こういう理由ならば離婚じゃなくて単に別居でもいいような気もするが博明としては離婚でなければならなかったのか。分かるような気もするが分からないような気もする。ある意味、子供達の方が大人なような気がした。2023/02/23
あつひめ
30
ひと夏の家族物語のような。今までお互いが心の中にしまい込んで曖昧にしていたことが初めて語り合われたような。あまりにも淡々とした進み方でなかなか誰にも感情を寄せることができなかった。子供たちも「こども大人」で物分かりが良すぎる。喜子さんの登場はこの物語の鍵のように思う。子供たちに無理やり理解させるのではなく、なぜ?と疑問を持たせ考えさせる。ここが小路さんの筆。成長のきっかけをくれる。恵里佳さんの気持ちもわかる。なんだかんだ言って振り回されてる。大人は人生の結果を求めやすいが、子供は過程を知りたいんだと思う。2024/08/28
タルシル📖ヨムノスキー
23
離婚といえば浮気とかDVとか性格や価値観の不一致(そもそも性格や価値観が一致することなんてあるのか)とか、とにかくドロドロした感情や出来事をまず想像してしまうけれど、この物語はいたって爽やか。いや爽やかという表現は正しくないかもしれないが、少なくともいわゆる「家族」というカタチを解消してしまったこの親子4人が、お互いのことをとても大切に思っていることは間違いない。とても短い物語だけれど、心にじんわり染みました。「心はね、楽しかったり嬉しかったりする時じゃなくて、寂しかったり辛かったりした時に成長するのよ」2022/12/19
のっち
11
私には子供がいないのでよくわからない部分もありましたが、解説を読んで納得しました。親が子供にはわからないだろうと思う「大人の事情」、でもちゃんと話せばある程度は理解するということ、そのことで子供はとても成長し、子供の言い分を聞くことで親も成長すること。家族の話、良書です。2022/10/21