出版社内容情報
建設直後の「Rの家」の側で自殺した母親の心境を追う、センチメンタルミステリ。
内容説明
「人と人の関係で歪んでいない関係は一つもない。それを修復しようと心を砕く。人生はその繰り返しだ。馬鹿げてると思わないか?」17の夏、高校休学中のぼくは母が自殺した田舎町へ。従姉と伯父、変わり者二人の暮らす“Rの家”で語られる母の孤独の軌跡。すれ違う人々の胸に点滅する“それぞれの切実”を、シニカルにそしてビターに描きだす、救われざる魂を持つ漂流者たちの物語。
著者等紹介
打海文三[ウチウミブンゾウ]
1948年東京都生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。著書多数。ハードボイルド小説に加え、純文学タッチの繊細な作風でも知られる。07年逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
タカギ
28
おもしろかった。ハイセンス。なるほど、伊坂幸太郎は著者の影響を受けている。表紙がポップなので手に取りやすい。『ハルビン・カフェ』から残虐性を引くとこうなるのかと思う。壊れた家族の話で、フェミニズムの話で、性愛の話で、ミステリ。解説の宮内悠介は著者が伝えたかったのは「そうではない」と言っている。なんだろう。ラストのどうしようもなさも良い。いろいろ考えても考えなくても、すごくおもしろいです。連載版とのちがいもとても興味深い。2023/10/11
じゅむろりん
15
年始めは打海作品。祖母が建てたRの家に、幼い頃母親を失った高校休学中のリョウと、伯父で小学生の頃エロ小説を執筆して家族と断絶した雅彦、家出して風俗店に勤める従姉妹の李花が集う。海に身を投げたはずの母親順子は、本当に死んだのか。関係性が壊れ漂流し続ける家族の中で、母の真相を探るリョウに待ち受ける結末が気になる。リョウは身勝手な父をどう思っているのだろうか。読み終わると寂しくもあり哀しくもあるけど、切なさが余韻としていつまでも残ります。男女の関係と権利、生き様の自由を謳う打海氏らしさ溢れる作品でした。2023/01/07
Good Tomorrow
10
尖っていて倒錯的、理知的であり退廃的な空気感、猥談すら耽美的、シニカルでビター、捉え所のないとても面白い小説でした。17歳の夏、〝リョウ〟は高校を休学して北関東の漁師町にある〈Rの家〉で、伯父の〝雅彦〟と従姉の〝李花〟変わり者二人との同居生活。12年前リョウの母〝順子さん〟が自殺した秘密と真実…。生きていくのは疲れるが、それでも人生は続いていく、漂流しながら…。そんな気持ちが胸に沁みいる一冊。2022/05/12
こばゆみ
6
うーむ、全然分からんかった(^_^;)。いや、場面場面は分かるのだけど、1つのお話として繋がらないというか…(^_^;)。でも解説に「少年があてどなくさまよう流浪の物語」って書いてあって、そうそうそんな感じ!とようやく腑に落ちたのでした…不思議なお話…2022/05/15
たかっさ
4
ポップでドライでリズムの良い映画のよう。じめじめ度はゼロ。特に前半は、登場人物それぞれが語るエピソードが次々とポンポンと連続し、世界観を構築していく。あぁ、李花。。。2024/05/17
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