出版社内容情報
宿の神は、ただそこにあるだけ。亡き者たちを背負って歩く西行の胸のうちには……。著者畢生の大河伝奇小説の傑作、堂々完結!
内容説明
宿の神、宿神―ものに宿る神。後白河上皇は、あれを見ることは出来ずとも、感じることは出来ると言う。あれとは、花が花であり、水が水であり、葉が緑であり、花は紅きが如く、自然のものにござりましょう―西行はそう、返した。保元・平治の乱を経ても治まる気配無きこの世。西行とは、平安という時代の滅びを見届けさせるために天が地上に差し向けた人物であったのか…。
著者等紹介
夢枕獏[ユメマクラバク]
1951年、神奈川県生まれ。東海大学文学部日本文学科卒業。77年、「カエルの死」で作家デビュー。『キマイラ』『闇狩り師』『サイコダイバー』『陰陽師』など、多くの人気シリーズを持つ。89年、『上弦の月を喰べる獅子』で日本SF大賞を受賞。98年、『神々の山嶺』で柴田錬三郎賞を受賞。2011年『大江戸釣客伝』で泉鏡花文学賞を受賞。また同作で12年に吉川英治文学賞を受賞。17年に菊池寛賞、18年に日本ミステリー文学大賞を受賞。18年、紫綬褒章を受章(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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豆電球
9
平安末期の華々しくも澱んだ時代に、国を覆そうとする大いなる魔物の友として生き、その栄枯盛衰を見届けた西行の一生。心にずーんと残る人物です。しかし鹿ヶ谷の陰謀辺りからはどうしても「平家物語」のなぞりになってしまうのですよね。そこに新たなエピソードや心情を加える余地がないほどに「平家物語」は精度の高い読み物だという事なのかも知れません。東日本大震災後の時に東大寺が莫大な借金をして東北に義援金を送った話に当時胸がじーんとなっていたのですが、当時奥州へ東大寺再建の勧進を西行が引き受けていたのですね。歴史の尊さ。2022/05/27
かめゆき3
4
一気読みでした。平家の盛衰をこんな立ち位置でいた人がいたとは知らなかった。平安の貴族のどろどろが凄まじいのはもちろん知っていたけど、それをこんな立ち位置で見届けるのはさぞ、苦しかったのではと思う。長く生きるという事は幸せなのか、不幸なのか。西行さんの最後が本当にこうだといいな。 2022/03/12
ほにょこ
1
★★☆☆☆ 最終巻。3巻まではまあまあ楽しめましたが、この巻は駄目でした。著者が出しゃばりすぎで臨場感、没入感が大きく損なわれています。極論を言えば、物語として面白ければ史実なんでどうでもいいんです。2022/05/31
あきのぶ
1
完結2022/02/18
七辻
0
Kindleunlimited2024/06/30