出版社内容情報
ミステリ史上に残る屈指の名作シリーズ、奇跡の再始動! 鬼才・山田正紀の本格推理+警察小説の傑作シリーズ、第一弾。
内容説明
警視庁・科捜研「特別被害者部」は、違法ギリギリの囮捜査を請け負う新部署。美貌と“生まれつきの被害者体質”を持つ捜査官・志穂の最初の任務は品川駅の女子トイレで起きた通り魔事件。厳重な包囲網を躬して、犯人は闇に消えた。絞殺されミニスカートを奪われた二人と髪を切られた一人―奇妙な憎悪の痕跡が指し示す驚愕の真相とは。
著者等紹介
山田正紀[ヤマダマサキ]
1950年生まれ。74年『神狩り』でデビュー。『地球・精神分析記録』『宝石泥棒』などで星雲賞、『最後の敵』で第3回日本SF大賞、『ミステリ・オペラ』で第2回本格ミステリ大賞、第55回日本推理作家協会賞を受賞。SF、本格ミステリ、時代小説など、多ジャンルで活躍(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
麦ちゃんの下僕
144
松下由樹さん主演の2時間ドラマ版は何作か見たことがありますが…原作は初読です。品川駅のトイレで2週続けて発見された女性の他殺体…彼女達は殺される直前、山手線車内で痴漢の被害にあっていた!?…なるほど、“超絶ミステリ”と銘打つだけのことはある、読み応え充分の作品でした!終盤まで違和感を残したまま二転三転…最後の真犯人の供述が秀逸ですね。このシリーズは“五感”をテーマにしているそうで…“触覚”がテーマの今作では、やはり痴漢の描写が生々しいです…女性読者はご注意を⚠️ 青崎有吾さんによる解説も素晴らしいですよ!2022/06/16
nemuro
53
あまり馴染みのない作家だが、いつの間にか「徳間文庫41年目の本気【トクマの特選!】」が取り組まれて、復刊されていた数名の作家・作品の中から都筑道夫とともに選んでみたところ。『妖鳥(ハルピュイア)』(本年2月読了)に続き2冊目。青崎有吾氏の解説に「四半世紀前の発表作が三度目の復刊。ミステリーとして優れており、まだまだ読まれる価値がある」とあった。山手線で発生した痴漢・殺人事件に美貌の囮捜査官・北見志穂が挑む。意外性もあって悪くない。更に「首都高バラバラ死体」「荒川嬰児誘拐」「芝公園連続放火」へと続き愉しみ。2024/04/30
森オサム
38
囮捜査官シリーズ一作目。1996年発表以来三度目の文庫化は壮大なプロジェクトになるはずだった。元々は5冊のシリーズで有った作品を今回の再発では4冊で切り、5冊目以降をシーズン2として新たに書き下ろして行くと言うのである。しかし理由は定かではないが、22年に発売予定だった新作は出されず今に至る…。と言う訳で待っても出ない新作は諦めて読み始めました。全ての伏線が回収される訳では無い大らかさと、二転三転するダイナミックなどんでん返し。完璧に収まって無いのに、何故か面白く読めてしまう。やはりエンタメの天才ですね。2024/11/12
geshi
35
そりゃ2時間ドラマ化するだろうなと思う、よくできたサスペンス。犯人と目される人物が二転三転して先を読ませない展開と、志穂が囮として自覚し冴えないオヤジと思っていた袴田や目の敵にされていた井原の別の面が見えてくるキャラクターの成長があり、王道をちゃんと踏まえている。被害者である女性に向けられる目は現代でも通じるテーマになっていて、復刊した意味も分かる。一応ミステリらしい心理トリックはあるが扇情さが優先されていて、歪んだ動機がもっと際立つようにできただろうとは思う。2022/07/09
Kanonlicht
29
おとり捜査専門のみなし公務員捜査官が主人公のシリーズ。テレビドラマ化もされていたけれど、そっちは未視聴。30年近く前の作品なので、文化レベルや捜査方法にはさすがにギャップを感じる。今なら防犯カメラ映像や科学捜査で即時解決なんだろうなと思いつつ、それがゆえに捜査が二転三転するのもこの時代ならではといえる(そのせいで刑事たちが無能に感じるのはご愛嬌)。令和版の続編を執筆予定とのことだけど、本当にあるのかな。2024/07/09