出版社内容情報
警視庁初の心理捜査官として任命された吉村爽子。連続猟奇殺人事件を見事解決へと導いたが、職務の性質と爽子自身の性格のためか周囲との軋轢も深く、理不尽に責任を取らされて、所轄(多摩中央署)へと配置転換になった。左遷同様の異動である。爽子本領発揮の劇場型事件など起こるはずもなく、本庁以上にアクの強い叩き上げの刑事たちとの地道な捜査活動。それはそれで平穏な日々を送れるかに見えたが…。
過去に因縁のある上司、うるさ型の守旧派刑事、つかみどころのない同僚、爽子に憧れる新人女性刑事らと「日常的な事件」に関わりながら、心理捜査官として手腕を発揮。平凡に見える事件の思いもよらない深層を見抜く爽子の捜査眼にさすがの猛者たちも…。そうこうするうち、爽子にもある変化が…。
人間不信、自らの出自に対する不安、捜査官としての自信喪失…あらゆる負を背負い込んで傷ついていた爽子は人間らしさと自信を取り戻してゆく。
内容説明
あんた、なんで所轄なんだよ?心理なんとか捜査官の資格もってんだろ、犯罪捜査支援室あたりが適当なんじゃねえのかよ…多摩中央署に強行犯係主任として異動(=左遷)、本庁よりも更に男優位組織でアクの強い刑事達に揉まれる吉村爽子。ローカルな事件の地道な捜査に追われる日々の中で、その大胆な“筋読み”が次第に一目置かれるようになる。「心理応用特別捜査官」吉村爽子の活躍!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぶんぶん
25
【図書館】警視庁心理捜査官の第二弾らしい、だから警視庁の捜査一課から外れて「多摩中央署」という所轄に回された経緯は詳しく書かれてはいない。 所轄の刑事・元犯罪捜査心理分析官・吉村爽子の男たちに交じっての活躍を描く連作短編集。 ちょっした引っかかりから推理される爽子の大胆な発想が事件を解決する。 そこにおける人生の機微とか情の触れ合いが心地良い。 自分の気持ちと相手の気持ち、どこで折り合えば、爽子の独自の考えが判る様な気がする。 二巻が有りそうなので、続いて二巻へ。2023/06/02
RED FOX
11
「私は上に怒鳴られて頭を下げるくらいしか役に立たない人間だ。だが」所轄で揉まれながら頑張る爽子刑事にほっとします。こじらせながらも違和感の察知、分析の鋭さが面白い。2023/11/11
hutaro
8
心理捜査官と言っても、私の想像していたのと違い、結構ありきたりな推論だったな。それでも十分すごいのだけれど、例えば被害者の遺体を触ったとき、最期の瞬間が分かるとか、特殊能力ものの方が私は好み。本書はいたって堅実な捜査。起こる事件はほとんどが性犯罪がらみ。シリーズものみたいなので、最初から読めば愛着が湧くかも。爽子が事件解決の糸口となっているのに、なぜ厄介者みたいな扱いなのかちょっと知りたい。☆☆☆2022/01/10
カラヤ3
1
9話の短編なので読みやすい。性犯罪事案が多かったように感じた。2024/04/17
Sannija
1
心理捜査官・爽子シリーズ。 今回は中編・短編集。 捜査一課から異動となり、地方の所轄へ。 セクハラな言動の多い伊原さんはツンデレ? 爽子特有の視点で事件に当たる。2023/11/28