出版社内容情報
路地の向こうの不思議な町では師匠とちょっと怪しい仲間たちが温かく迎えてくれる……。ファンタジー長篇。
内容説明
小学六年生の直之は、西の方から引っ越して来た転校生。病気のせいで体が小さくても、方言をからかわれても、母親がいなくて厳しいおばあちゃんに辛くあたられても、明るく挫けない。その元気の秘密は、路地の向こうにあった。大都会のすぐとなりにある昔ながらの不思議な下町で、師匠とその怪しい仲間が温かく迎えてくれるから―。少年の成長を描いた、癒しと再生の物語。
著者等紹介
香月日輪[コウズキヒノワ]
和歌山県生まれ。『ワルガキ、幽霊にびびる!』(日本児童文学者協会新人賞受賞)で作家デビュー。『妖怪アパートの幽雅な日常1』で産経児童出版文化賞フジテレビ賞を受賞。2014年12月逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
はつばあば
53
香月日輪さんの本はいつ読ませてもらっても心が傷つかない。イヤミス系とは縁のない生活を送ってこられたのか・・それとも心の傷を克服されて読者に愛を提供してくれてはったのか。人への気遣いが素晴らしい。どの本を読ませてもらっても子供には愛を、大人には子育てを指南してくれます。ほんと惜しい人やったから早世されたのでしょう。憎まれ婆はいつお迎えがくるのでしょう(?_?)2023/12/11
ぽろん
42
関西から引越ししてきた直之は、いじめっ子に目を付けられても、不思議町の師匠がいるからへっちゃらだい!優しくて可笑しい住人達や家族の物語にほろりときます。続編が読めないのが哀しい。2021/05/07
Kazuko Ohta
21
旅先に持って出た本を往路で読了してしまい、駅に入る書店でとにかく薄い本を探し求めてさまよったところ、本作に目が行きました。“妖怪アパート”シリーズを読んだ頃が懐かしい。病気を患っていた主人公の少年に向かって師匠が掛ける、「お前の事情を知らん奴からしたら、お前は遅れてるなぁと思うのも当たり前。当たり前のことなんやから、お前がことさら気にすることでもないねん」という言葉は、そのとおりだと思いました。1時間もあれば読み切れる本の中に、こんなにも優しさと温かさがあふれている。作家の早世が惜しまれてなりません。2021/06/25
みずさん
5
香月日輪さん、もっともっと書いて欲しかったなぁ。 子供のためにも、疲れた大人のためにも、心の栄養になるお話ばかりでした。 子供にも孫にも受け継ぎたい話です。合掌。2021/06/12
himico
5
★★★★★(4.5)トトロはいた!行ける人にしか行けない下町、そこにいる不思議が見える人達、その下町にメイちゃんのように入って行ける主人公直之の物語です。直之の傷付いた心は下町で癒えていきます。そんな中最大のトラブルが。そんな直之を心配する父親はトトロのところにたどり着けたサツキちゃんのようになれるのか、直之はどうなるのか!トトロに親しんだ人なら楽しく読めるのではないでしょうか。続きを読みたいと思ったのですが、作者さんが急逝されたそうで、残念です。他の作品も読んでみたいと思います。2021/05/28