出版社内容情報
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【ライター、武田砂鉄氏推薦!】
ティラミスハウスに吸い寄せられた
女性たちを眺めながら、
おまえはどうだい、他者を軽んじていないか、
と自分に矢印を向けてみる。
そんなことしてないよ、と即座に言い返すのだが、
その目は泳いでいる気もする。
(解説より)
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【あらすじ】
私たち、幸せになる資格はある
内容説明
明大前駅から徒歩十八分。「ティラミスハウス」は、しゃれた名の似合わない木造二階建てのボロ長屋。留学資金を使い込み親の秘密で帰国した古畑樹には金がない。家賃の安いシェアハウスを探しここに決めたが、こんなところに住めるのだろうか。次第に明らかになる住人たちの事情。貧困、生活保護、DV、外国人技能実習制度、ネグレクト―。現代の生きづらさをリアルに抉り出す衝撃作!
著者等紹介
深沢潮[フカザワウシオ]
東京都生まれ。2012年「金江のおばさん」で第11回「女による女のためのR‐18文学賞」大賞を受賞。受賞作を含む『ハンサラン 愛する人びと』(文庫版は『縁を結うひと』に改題)でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
けえこ
16
改題本。 元タイトルは「あいまい生活」 おんぼろシェアハウスで生活する訳あり女性たちの話。 「自分という存在が他の人にとって軽いものであることが悔しい」 コミュニケーション下手を言い換えるとそうなるのかも。 2021/05/09
MEKKE
6
見た目がポップだったので、読み進めて「貧困女子」をテーマにしているとわかって愕きました。 貧困女子って一括りにしてしまいがちだけど、そもそもそのカテゴライズが間違っているんだと思ったし、ここに出てくる女性と自分を比べて、まだマシな方なんだな気をつけなきゃな、なんて思ってしまったことが恥ずかしい。ただ、この問題を解決する術が私には全くわからない。想像力の欠如か、この社会の捩れなのかどちらにせよ悲しい。2021/10/11
りょう
6
タイトルから勝手に暮らし系のエッセイだと思っていたら、いろんな事情のある女性のシェアハウスを舞台にした小説だった。産まれるところは誰にも選べない、でも、その呪縛から逃れることが、だんだん、難しくなってるんだなあ。2021/03/22
toshi
4
2017年の連作短編集。あるボロボロのシェアハウスに住む女性達を描く小説です。生活保護、強制送還、DV 等、語り手達は様々な問題を抱えており、それぞれを一本の長編にしても問題無い位、ストーリーが良く練られています。また、住人達が必ずしも仲良くなる訳では無く、むしろ逆の方向に行くところが人間社会の縮図を見ているようで興味深かったです。私はあまり出来すぎのハッピーエンドが好きでは無いので、本作の何とも言えないラストが結構好きでした。2022/01/03
はる美
3
貧困女子をテーマにした連作短編集。ボロボロな建物のシェアハウスで生活する六人の女性たちは、差別、DV、生活保護、外国人技能実習制度など、様々な事情を抱えている。何も知らず人を断罪するのは、優越感も相まって誰もが無意識にしていることだと身につまされる。 救いがないといえばそういう物語だけれど、それが逆にリアルで良かった。2022/04/29