出版社内容情報
【20代書店員(女性)感想】
中学時代に告白するもその文章を裏サイトに載せられて引きこもり、Fラン大学に入学しやっと外に出るも今度は中国人の少女を相手に失恋する。
ここで実らない恋だと自覚するも勢いで中国に飛び込む若さゆえの行動は迷走しているとは言え、青春以外の何者でもないですね。大きく平たく言えば自分探しの旅ですが、その自分探しの舞台が色々な歴史を背負う中国であることや、主人公高良が周りの人々と積極的に混じり合うことによって展開が面白くなっていました。
所々に比喩が混じり、主人公と周りのふとした会話にはどうもさらっと読み進めてはいけない大事なことが見え隠れしていて何回もページで頭をフル回転させました。
個人的に好きだったのは森のアトリエのタバコの灰皿のシーンで(p.224‾226)
『灰皿さえ灰皿でいられない場所で、人間が人間らしく生きられるものだろうか?』
鋭いけど高良らしい視点でこの物語に一貫したテーマがギュッと詰まっていました。
【読者から熱いメッセージ】
本書の中にみなぎっている活力は読者に走る力を与える。躊躇いをどこかに追いやってくれる。そして、どこかに向かって走りたくなる。……。何が一体読者の気力をここまで沸かせることができるのだろうか? わたしは高良の飽くなきトライ精神がそうさせるのだと信じている。しかし、高良のトライ??自分の殻を破る行動??は、ここで収まらない。バイト先の先輩に誘われた盗難車移送のため、訪れた黄土高原で、偶然目にした、歴史によって狭間に取り残された女性を救うために行動を起こす。結果的にこれは失敗に終わるけれど、高良の中に芽生えた意識は、一連の行動なくして生まれなかった本物の魂だ。彼の恋心は時間を経て人間に対する大きな愛へと成長している。こんな青春パンクを見せつけれて、その場にじっとしていられるわけがない。
弁当工場でバイトしながら、
三流大学に通う高良伸晃は19歳。
教室で、陸安娜という中国人女子学生に惹かれる。
しかし、安娜に恋心をずたずたに引き裂かれ、
中国に短期の語学研修へ。
その後、上海で偶然出会った
バイト先の先輩に頼まれ、
盗難車の移送のため、一緒に上海から西安、
そして黄土高原の沙漠へと向かう。
中国大陸を疾駆する道中で出会った人々の
凄まじいドラマ。
水漏れした心が旅の中でたどり着いた世界…。
動くことへ熱く駆り立てる長篇青春小説!
内容説明
元引きこもりの高良伸晃十九歳。弁当工場でバイトしながら、三流大学に通っている。教室で、陸安娜という中国人女子学生に恋するが、安娜に恋心をずたずたに引き裂かれ、中国に短期の語学研修へ。その後、上海で偶然出会ったバイト先の先輩と共に、盗難車移送のため、上海から西安、そして黄土高原の砂漠へと向かう。中国大陸を疾駆する道中、歴史の闇と現実に出会い、辿り着いたのは…。
著者等紹介
東山彰良[ヒガシヤマアキラ]
1968年、台湾台北市生れ。5歳まで台湾、9歳の時に家族で福岡県に移住。2002年、第1回『このミステリーがすごい!』大賞銀賞・読者賞受賞の長篇を改題した『逃亡作法―TURD ON THE RUN』で作家としてデビュー。2009年『路傍』で第11回大藪春彦賞を受賞。2013年に発表した『ブラックライダー』が大きな話題となる。2015年『流』で第153回直木賞を受賞。2016年『罪の終わり』で第11回中央公論文芸賞を受賞。2017年から2018年にかけて『僕が殺した人と僕を殺した人』で、第34回織田作之助賞、第69回読売文学賞、第3回渡辺淳一文学賞を受賞する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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