出版社内容情報
人が人を選び、生き残ってもよい優れた者を決める。20年前に行われた優生思想の実験は、時を経て、あらたな火種を生む。
内容説明
“20年前にS大社会学部で行われた心理学実験の詳細を、今日の24時までに公開すること。日付が変わった時点で公開されなければ、ぼくは殺されます”警察に手紙が届いた。差出人は実験を行なった教授の息子。被験者によればその実験は、16人から1人を選ぶだけの他愛もない内容のようだが…。実験の意味は何だったのか。誘拐犯の目的は。日付が変わるまで、残り4時間。
著者等紹介
両角長彦[モロズミタケヒコ]
1960年埼玉県出身。北海道大学教養部理3系中退、一橋大学経済学部卒。2010年『ラガド 煉獄の教室』で第13回日本ミステリー文学大賞新人賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
遊々亭おさる
10
大規模な地震の到来がまことしやかに囁かれていた頃にS大社会学部で行われたある実験。それは、それぞれの思想を持つ16名の中からひとりを選び出すというもの。これはあの悪名高きアイヒマン・テストなのか?20年後、この実験の主催者である中平教授が殺された後、教授の息子が誘拐されてあの実験の詳細を公開せよと脅迫文が届き…。選ばれること、選ばれないことを繰り返しながら人は一生を終えていく。選別の苦痛から逃れられる差別無き世界を目指した男。同調圧力が強いどこかの国で男の野望は実現しているか。そこは天国かディストピアか。2020/11/18
hiroy
3
旅のお供。就職氷河期の学生が教授のアホな実験に参加した話。面白そうな設定だったのだが中身がスカスカ。実験そのものの意味が全く分からない。「16人の人格の中から一人を選ぶ」というものだが何を意味しているのか明示されない。なのに選ばれなかった事が死を意味するとか脱落者の烙印とか参加者が勝手に決めているのが違和感。しかも登場人物全員がこの変な共通認識を持ってる。5人の学生が16人格の中から一つを選ぶのに4時間もかかるわけがない割に大層な人格改造プログラムなどと馬鹿馬鹿しい結論に結び付けられて困惑しきり。Fラン。2025/03/17
鼻フック
0
誘拐事件が発生し、犯人の要求が「過去に行われた実験の詳細を公表すること」から始まるミステリー。16人のうち、生き残るべき人物の選定をディベートで行うという実験の目的とは何か?が少しずつ明かされていくので、気をもみながら読んだ。オチはちょっと弱かったけど、読後感はまあまあ良かったかな。2021/06/27
non
0
21-19:面白いな設定。心理。「就活用の人格を身にまとえているかーー就活用の人格が欲しい・差別的な考えを心の底で持っていたとしてもこの場ではそれを封印して極力公平な立場に立とうとするそういう姿勢が君には欠けている・みんな等質」2021/02/04
たこ
0
中盤までの止まらない高まりは凄い。2020/11/23