出版社内容情報
タイムスリップして、もう一度妻に愛してもらう自信はありますか? 芥川賞作家が描く大人の偏愛。
内容説明
平凡な暮らしとはいえ、幸せな家庭を築いた男。しかし、妻子とのやり取りに行き詰まりを感じて出奔してしまう。たどり着いたドヤ街で小さな白い錠剤を見つけた男は、遺書を書き、それを飲む。ネタになるならよし。よしんば死んでも構わないと考えて。目覚めるとそこは10年前、結婚前の世界だった。人生を選べる幸せを、男は噛み締めていたのだが…。鬼才が描く大人の偏愛。
著者等紹介
吉村萬壱[ヨシムラマンイチ]
1961年愛媛県松山市生まれ、大阪府枚方市育ち。京都教育大学卒業後、東京、大阪の高校、支援学校教諭を務めた後、専業作家に。2001年「クチュクチュバーン」で第92回文學界新人賞を受賞しデビュー。2003年「ハリガネムシ」で第129回芥川賞、2016年『臣女』で第22回島清恋愛文学賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 2件/全2件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Tαkαo Sαito
25
回遊人切ねぇ。けど面白い。吉村萬壱先生の文章は等身大で飾らず、読者に150kmのストレートで突きつけてくるから止められない。165kmでも、160kmでも155kmでもないのよ。コンスタントに投げ込める150kmのストレートなのよ(分かってくれるはずはない)2023/06/15
兵士O
13
奥さんの淑子さんが可哀そうですぅぅぅ!!! 旦那の主人公が浮気や女遊びをしても、子供がいるからと慎ましく我慢するし、唯一の相談者である診療所の医師のことを、旦那がその日の気分で罵倒しても、これまた言い返さないし、本当に尽くす女性ですよ。この作者の吉村さん、女性を描くのが上手いですね。一見すると、主人公の駄目男っぷりばかりが目につく小説ですが、もう一人のむちむちヒロイン、亜美子の性格の放蕩さも光ります。多分、吉村さん、実生活では、奥さんに感謝しているんだろうな、と思います。そんな深読みができる小説でしたね。2020/03/07
sansirou
5
脱サラした作家が妻子を抱えかけない苦悶の中、中華料理屋で落ちていた錠剤を飲むと、10年前の自分に戻っていた。過去の自分とは違う選択の中で、魅力的な女と一緒になるが、元妻との関係を心に残し10年後また薬を飲んで過去に戻る。この話はなんだか怖いですね。2025/04/24
夕暮
5
読書会課題本。気になっていた書き手を初読み。思ったよりエグくなかった😄萬壱風ブラッシュアップライフか?いやブラッシュダウンライフだな。主人公は屑すぎるが、奥さんは彼のどこに魅力を感じたんだろう。ある種の夫婦小説なのか? 始めが一回目の人生とは限らないな。2025/02/14
あひるのふせん
5
信じられないことにバレンタイン小説。2月14日からの分岐と言えば、なんだ青春か、とライトな興味を引きそうですが、甘いもほろ苦いもない、思わず目をきゅっとしてしまいそうな酷い主人公です。ただ、ままならない人生を嘆く様や、ふと些細なことで淑子を思い出す場面にどうしようもない、泣きたい気持ちになってしまう。センスのない言葉でいうと、純文学的タイムリープものですので、「伏線回収」のようなもの「展開」のようなものが続いて単に読む手が止まらない。結局面白かったな、と本を閉じた自分にも驚いてしまう、不思議な小説でした。2020/02/14
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