出版社内容情報
嫌いな女友達より、愛しい人を奪った女より、私が一番憎いのは……。短編の名手が贈る、大人の極上ミステリ7編。
内容説明
仕事がしたい。なのに、あの男は“私の家”に帰ってきて偉そうに「夕飯」だの「掃除」だの命令する…。苛立ちが募る女性作家のもとに、家事を手伝いたいと熱望する奇妙なファンレターが届く(表題作)。嫌いな女友達より、恋人を奪った女より、誰よりも憎いのは…夫かも。あなたが許せないのは誰ですか。第五十一回日本推理作家協会賞短篇部門候補作を含む極上ミステリー七篇。
著者等紹介
新津きよみ[ニイツキヨミ]
長野県生まれ。多くの作品が映像化されている。近著に『二年半待て』(徳間文庫大賞2018)などがある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ミカママ
471
タイトルはイイ。ミステリーテラーとしての引き出しの多さも認める。女性にしかできない目線も多く盛り込まれており、ファンを多くもつ理由はその辺だろう。しかしながら、各編の動機の弱さ、設定のありえなさはナイわ。サレ妻が夫の不倫相手の家に乗り込みながら、ふたりでお茶やケーキ?ナイナイ。100パーないから。2020/05/10
モルク
109
インパクトのある題名。「殺意が見える女」の改題本で7つの短編集。20年前の作品であるだけあって、カセットテープなどが出てくるとさすがに時代を感じる。ミステリーとサスペンス双方の要素が混じる。手紙、また誰が出るかわからないそしてどこからかかってきたかもわからない固定電話という通信手段が今にはない不穏な空気を助長する。2019/10/31
じいじ
103
男としては、なんとも耳障りなタイトルです。でも、このタイトルに惹かれて即買い、予定を繰り上げて読みました。7短篇一話一話に変化があって面白かった。表題作は、夫へのもっと激烈な怨念が飛び出すのを覚悟していたが、少々軽めで予想外。でも、筋立てが巧いので読ませます。妊娠までして捨てられた男(実際の標的は彼の妻)への復讐する女。恋・結婚に破れた女たちが完全犯罪を企てる、とても怖~い物語です。ホラー度が軽めなので、臆病な爺イでも楽しく読めました。クセになる新津ミステリーです。2019/06/28
スエ
98
「夫が邪魔」この、もの凄いインパクトのあるタイトル!世の既婚男性にグサッと来る、このタイトル!! 確かに、この夫はひどい。妻の成功を妬み、足を引っ張る。終いには「いまの私には夫は邪魔な存在でしかありません」とまで言われてしまう始末。とても、とても印象に残る「夫が邪魔」を含む、女達の情念がこもった7編の短編集。2021/01/12
ごみごみ
97
結婚、妊娠、不倫、離婚を題材にした女性の心理サスペンス。手紙とか文通とか家電の留守録など20年以上前の作品ならでは。スマホもメールもネットも出てこない。だからこそやりとりが遅くて情報もなかなかつかめなくてイライラして悶々とする女性の心情が丁寧に描かれている。7つの短編がどれも読み手にその後の展開を想像させるところで終わってるのが巧い。2019/08/10