出版社内容情報
この財産、めったな奴にやれるものかーー。莫大な遺産をめぐって人間のあくなき欲望が絡み合う。江戸川乱歩推薦の名著、復刊!
内容説明
この財産、めったな奴にやれるものか―。河原専造は余命半年と宣告された。唯一の相続人は年若き後妻。しかし彼女が遺言状の有無を弁護士に問い合わせていたことを知り、専造は激怒。過去付き合っていた四人の女が生んだ子供たちを探し出し、遺産の相続人に加えることにした…。莫大な遺産をめぐって人間のあくなき欲望が絡み合う著者の代表作。江戸川乱歩が激賞した名作、ついに復刊!
著者等紹介
南條範夫[ナンジョウノリオ]
1908年東京生まれ。東京帝国大学法学部、同経済学部卒業。満鉄調査部ほかを経て、國學院大學教授となる。「週刊朝日」の懸賞小説に入選。56年「燈台鬼」で直木賞、82年『細香日記』で吉川英治文学賞を受賞し、時代小説、歴史小説を中心に数多く執筆した。75年紫綬褒章を受章。2004年没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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秀玉
12
面白いね。どうなる、どうなっていくんだを冷や冷やドキドキではなく、エンタメとして楽しめる。つらくならない面白さだ。いやはやどいつもこいつもグズばかり、欲の塊だ。欲とはほんとうに恐ろしい、結局それが破滅を招くが、実際この世の中は欲が支配している、政治家はまさしくそうだ。この物語でも少し触れられている。政治家の給料を減らし、特権も減らす。ぜひ実現してほしい。今度の総裁選でがっかりしたのが、二人が石破政権を継承すると発言した。現総理の無能ぶりよりも、持ち上げることをしている。なさけない。この物語は痛快で閉じた。2025/09/20
Aki
5
昭和30年代と古い話ではあるけど、悪い奴らばかり出てきて面白かった。2時間ドラマになりそうと思ったら、昔々に映画化されていたのね。見てみたい〜2019/06/29
katsu
2
遺産を狙う人物たちが絡み合う様子が面白い。悪人ばかりなのでオチが難しいところだが、なかなかの結末。2023/08/28
コマンドー者
1
カッパノベルス第一号となる作品。南條範夫氏の初の推理小説で、江戸川乱歩が絶賛とのことだが、推理小説ではなくサスペンス小説だろう。山崎豊子の女系家族とよく似た遺産相続を巡るドロドロ劇で、今読んでもそこそこ面白い。2022/11/14
竜王五代の人
1
南條先生の現代ものは初めて読んだが、テレビドラマのように通俗的、映画化されたのもよく分かる。登場人物は金銭欲と色情欲しかないゲスがほとんどで、そうでなかったらグズ。そいつらが社会的にも、実際的も次々と死んでいく蟲毒状態(最後に一人だけ生き残るのも)。2021/07/30