出版社内容情報
京都・鷹ヶ峰で薬草園を営む藤林家で養われた女薬師・真葛が豊富な薬草の知識を駆使して事件を解決する。好評シリーズ1作目。
京都鷹ヶ峰にある幕府直轄の薬草園で働く元岡真葛。ある日、紅葉を楽しんでいると侍同士の諍いが耳に入ってきた。「黙らっしゃいッ!」――なんと弁舌を振るっていたのは武士ではなく、その妻女。あげく夫を置いて一人で去ってしまった。真葛は、御典医を務める義兄の匡とともに、残された夫から話を聞くことに……。女薬師・真葛が、豊富な薬草の知識で、人のしがらみを解きほぐす。
【著者紹介】
1977年京都府生まれ。同志社大学文学部文化史学専攻卒、同大学院修士過程修了。専門は奈良仏教史。2011年初の長篇小説『孤鷹の天』で第17回中山義秀文学賞受賞。2作目『満つる月の如し』で「本屋が選ぶ時代小説大賞2012」(オール讀物)受賞。
著者等紹介
澤田瞳子[サワダトウコ]
1977年京都府生まれ。同志社大学文学部文化史学専攻卒業、同大学院博士前期課程修了。専門は奈良仏教史。2011年、初の小説『孤鷹の天』(徳間書店)で第17回中山義秀文学賞を最年少で受賞。13年『満つる月の如し仏師・定朝』(徳間書店)で、本屋が選ぶ時代小説大賞2012(「オール讀物」誌)ならびに第32回新田次郎文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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時代小説大好き本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
のぶ
65
江戸時代、幕府直轄の京都鷹ヶ峰の薬草園を舞台に、そこで働く女性、元岡真葛を主人公に据え、6つのエピソードを綴った連作集。まず驚いたのはその時代にそんな施設があった事。真葛は豊富な薬草の知識を駆使し様々な要望に応えていく。それぞれの話はバラエティーに富んでいて、ミステリータッチのものや、人情的なもの、コミカルなもの、どれも面白い作品集だった。「若冲」で澤田さんを知り、「火定」でその活躍を知らしめた作家の、新たな一面を垣間見られて良かった。2018/10/06
kei302
41
KindleUnlimitedで見つけたので読んでみた久しぶりの澤田さん。こちらの薬師は牛黄を目の前にしても手をわきわきさせたり、人参を持って踊ったりはしませんが思い込んだら突き進む傾向があって、心配になります。長崎に行くと言い置いて行方知れずになった父上は次巻に登場するのでしょうか。気がかりです。2024/12/16
かっぱ
41
幕府直轄の薬草園である京都鷹ケ峯御薬園で働く女薬師・真葛。そこで栽培される薬草は約200種。三歳の冬からここで養われてきたので薬草の知識は人一倍。そんな真葛の元へ薬にからんだ様々な事件が舞い込んでくる。「ふたり女房」、「粥杖打ち」はユーモラスな部分があって好きです。印象に残るのは「春愁悲仏」。仏像を削った木屑を飲むと病が治るという。怪しい民間療法かと思いきや、その実は。どの短編もミステリー仕立てなところが興味を盛り立てられる。女性の医師がほとんどいないこの時代に、真葛が新たな決意を胸にするところで次巻へ。2017/04/08
ジュール リブレ
23
2冊目を最初に読んでしまいました。話題の『若冲』の澤田さん、苦味走った女版藤沢周平って感じ。1つ1つの短編に少しずつなぞかけがされていて、その謎ときも100%単純明解ではなく、人生経験の重みを感じる。読ませる作家さんだな、と改めて思う。2016/05/10
花林糖
20
幕府直轄の薬草園育ちの薬師の真葛が主人公の連作短編集。派手さのない淡々とした文章が心地良くとても好みでした。物語を通して公家の生活を垣間見れるのも◎。真葛の恋愛模様も地味にありそうなので次巻も楽しみです。2018/10/13